2000 Fiscal Year Annual Research Report
直立時のヒト下腿における筋血流の1分変動と体液量変動1分波の関係
Project/Area Number |
11680020
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
稲村 欣作 静岡大学, 教育学部, 教授 (80022119)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩瀬 敏 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (90184879)
|
Keywords | 体液量変動1分波 / 組織酸素飽和度 / ヘモグロビン量 / 1分変動 / 周波数分析 |
Research Abstract |
人が起立すると、重力のために血液が身体の下方に移動して脳や心臓の血流が減少する。著者らは、この負荷に対する補償作用のひとつとして、姿勢動揺の1分変動と体液量変動1分波が呼応して働く補償作用を見出した。本研究の目的は、まだ解明されていない組織血流に関するパラメータの1分変動を測定分析し、体液量変動1分波の作動機序解明に役立てることである。被験者は健康な大学生男子25名とし、背臥位と直立位において体液量変動1分波に関する測定をそれぞれ約40分間行った。測定項目は、左下腿ふくらはぎの組織酸素飽和度とヘモグロビン量(近赤外分光法)、身体各部位の体液量変動(ラバーストレインゲージプレチスモグラフィー、インピーダンスプレチスモグラフィー)、血圧変動(フィナプレス)心拍出量等(インピーダンスプレチスモグラフィー)、心拍数、呼吸運動、下肢と腹背部筋放電等(ポリグラフィー)、足圧中心動揺(スタトキネシメトリー)とした。測定中に起立性低血圧を起こし実験を中止した場合、または測定器のトラブルでデータが得られなかった場合には、可能な限り、日を変えて再実験を行った。分析可能な20名の直立位データについてオートパワースペクトル分析とクロスパワー分析を行った。その結果、これまでに1分変動が含まれていることが明らかにされているパラメータに加えて、左下腿ふくらはぎの組織酸素飽和度とヘモグロビン量に、これまでと同様の周波数(0.012〜0.017 Hz)を持つ1分変動を検出した。だが、前者については測定精度の問題が残された。下腿ヒラメ筋・筋放電の1分変動を基準にして求めた位相差については、一次分析の結果において散布度が大きく、確定的なことがいえなかった。しかし、これらの結果に基づいて今後さらに分析を進めれば、体液量変動1分波の作動機序解明に非常に役立つことと思われる。
|