2000 Fiscal Year Annual Research Report
運動による糖およびアミノ酸代謝の改善効果のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
11680024
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
下村 吉治 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (30162738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 太郎 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (10252305)
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Keywords | ピルビン酸脱水素酵素複合体 / グルコース輸送体IV / 運動トレーニング / 糖尿病 / グルコース代謝 / 骨格筋 / ラット |
Research Abstract |
運動が健康を維持・増進する作用を持つことは周知の事実であるが、そのメカニズムに関する研究は少ない。グルコースは、全ての細胞の主要なエネルギー源であるが、細胞内のグルコース代謝を律速する酵素は、細胞内へのグルコース取り込みを触媒するグルコース輸送体(Glut-IV)と、解糖系とクエン酸回路の結合部に存在するピルビン酸脱水素酵素(pyruvate dehydrogenase:PDH)複合体であり、これらの活性はインスリン感受性の低下と共に低下することが明らかにされている。運動トレーニングは、インスリン感受性を高め、グルコース代謝を促進するが、本研究では、筋細胞内のGlut-IV含量とPDH複合体活性に対する運動トレーニングの影響を検討した。 インスリン感受性低下のモデルとしてストレプトズトシン(50mg/kg体重)を尾静脈より投与して調製した糖尿病ラットを用いた。正常ラットおよび糖尿病ラットに、小動物用トレッドッミルを用いて4週間の運動トレーニングを負荷した。運動プログラムは、トレッドミル(登り勾配6度)の走行速度を25m/分とし、45分/日、6日/週であった。Glut-IVはWestern blotting法で定量し、PDH活性は[1-^<14>C]ピルビン酸を用いて、総酵素活性と活性型酵素活性を測定した。 糖尿病は、非運動群ラット骨格筋のGlut-IV含量を低下したが、運動トレーニングはこの低下を抑制した。骨格筋PDHの総酵素活性は、糖尿病により低下したが、運動トレーニングはこの低下を抑制した。PDHの活性型酵素活性は、運動トレーニングにより糖尿病ラットでは増加したが、正常ラットでは逆に低下した。これらの結果より、運動トレーニングは骨格筋のGlut-IV含量とPDH活性を増加することにより、グルコース代謝を改善することが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Nagasaki,Y.Shimomura, et al.: "Exercise training prevents maturation-induced decreases in insulin receptor substrate-1 and phosphatidylinositol 3-kinase in rat skeletal muscle."Metabolism. 49・7. 1-7 (2000)
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[Publications] N.Nakai,Y.Shimomura, et al.: "The abundance of mRNAs for pyruvate dehydrogenase kinase isoenzymes in brain regions of young and aged rats."Life Sciences. 68. 497-503 (2000)
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[Publications] M.Xu,Y.Shimomura, et al.: "The α-ketoisocaproate catabolism in human and rat livers."Biochemical and Biophysical Research Communications. 276・3. 1080-1084 (2000)
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[Publications] M.Obayashi,Y.Shimomura, et al.: "Regulation of the activity of branched-chain 2-oxo acid dehydrogenase (BCODH) complex by binding BCODH kinase."FEBS Letters. 491. 50-54 (2001)