2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680030
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
菊 幸一 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (50195195)
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Keywords | 生涯スポーツ / 多様化 / 公共性 / スポーツクラブ |
Research Abstract |
3年次研究の最終年次における本研究の目的は、2年次に実施したわが国の総合型地域スポーツクラブのモデル地区調査をふまえ、行政サイドやクラブ員の意識や理念から「公共性」概念をめぐる問題点や課題を明らかにするインタビュー調査を行い、行政組織(公)と民間クラブ(私)との関係から、具体的な行政立案につながる組織機構のあり方について議論を深めることにあった。また、1、2年次の研究成果をもとに生涯スポーツの多様化の様相とその公共性を担保する論理を整理すると共に、調査結果の分析を踏まえて生涯スポーツ振興をめぐる政策課題について提言することであった。 第1の課題については、西日本のY県教育委員会、Y県体育協会、Y市総合型コミュニティスポーツクラブの各責任者にインタビュー調査を試み、とくに民間スポーツ組織である県レベルの体育協会を中心に、民間の発想に立ったスポーツの「公共性」を再構築するための課題を明らかにした。結果的には、県レベルのスポーツ組織においても、加藤典洋が主張する「社会的なもの」に包摂された官僚化が進行しており、民間組織である県体協がそれらを突破する力を持ち得ていないことが明らかになった。 第2の課題については、第1の課題で示された日本のスポーツ施策における行政への依存体質があらゆるスポーツ組織に浸透していることから、この歴史社会的要因が日本の近代化の原型である。「後発近代」に特有のクラブのあり方や運動部問題にあり、そこで蓄積された「官」依存のスポーツに対する社会意識を指摘することにとどまっている。
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[Publications] 菊 幸一: "地域間交流の拡大"スポーツクラブ白書2000. 112-113 (2001)
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[Publications] 菊 幸一: "総合型地域スポーツクラブと体育施設の在り方"全国体育施設研究協議大会報告書. 62. 97-102 (2001)
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[Publications] 小路田 泰直(編): "戦後的知と「私利私欲」"柏書房. 234 (2001)