1999 Fiscal Year Annual Research Report
運動による肥満とインスリン抵抗性の改善におけるアディポサイトカインの役割
Project/Area Number |
11680044
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
井澤 鉄也 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (70147495)
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Keywords | ラット / 脂肪組織 / 身体トリーニング / レプチン / 腫瘍壊死因子α / プロスタグランジン / アデノシン |
Research Abstract |
脂肪細胞に由来するアディポサイトカインとアデノシンやプロスタグランジンの産生量に及ぼす継続的な運動の影響について検討した。実験動物にはWistar系雄性ラット(5週齢)を用い、トレーニングは9から10週間の走運動を行った。トレーニング終了後(14〜15週齢)、48時間後に麻酔下にて屠殺し、皮下脂肪組織および副睾丸脂肪組織を摘出した。摘出した脂肪組織からRodbellの方法により脂肪細胞を調整した。得られた脂肪細胞を37℃、5%CO_2で24時間培養し、培地中に放出されるアデノシンやプロスタグランジンE_2(PGE_2)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)およびレプチン量を比較検討した。副睾丸脂肪組織のアデノシン産生量は運動群で著明に増加した。PGE_2産生量は皮下脂肪組織および副睾丸脂肪組織ともに運動群で著明に増加した。TNF-αは運動群と対照群ともに皮下脂肪組織に比べて副睾丸脂肪組織で産生量が多く、両脂肪組織ともに運動群で増加した。しかし、皮下脂肪組織に比べて副睾丸脂肪組織でその増加量が大きかった。一方、レプチン産生量は副睾丸脂肪組織に比べて皮下脂肪組織で高かった。副睾丸脂肪組織では運動群と対照群でレプチン産生量に有意な差は認められなかったが、皮下脂肪組織では運動群で有意に増加した。以上の結果から、TNF-αは主として内臓脂肪組織でその産生量は大きく、一方、レプチン産生量は皮下脂肪組織で高いことが明らかになった。また、持久的運動はTNF-αとレプチンの産生量を亢進させることが示唆された。また、レプチンやTNF-αの産生に関わっているとされているプロスタグランジン代謝は、運動群で亢進していることが示唆された。
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