1999 Fiscal Year Annual Research Report
マスキング・パラダイムを用いた視覚反応時間課題における無意識的情報処理
Project/Area Number |
11680045
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
今中 國泰 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (90100891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西平 賀昭 筑波大学, 体育科学系, 助教授 (20156095)
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Keywords | 反応時間 / 刺激検出 / 知覚体験 / 反応準備 / マスキング / 無意識的過程 / 情報処理 |
Research Abstract |
本研究計画では、先行刺激と後続刺激の刺激強度および時間間隔を変化させることにより、マスキング効果(先行刺激が後続刺激により知覚できなくなる効果)の強弱などを操作し、そのときの反応時間の変化と脳内情報処理の途中経過を事象関連電位によって検討することを目的とした。そのために、パソコンを用いて刺激出力の制御を行い、刺激をタッチモニターに出力し、それに対する反応動作を行なわせる実験システムを構築し、あわせて、同時に脳波の測定も行うこととした。現在、刺激の検出、知覚、反応動作に関する分析をも可能とするシステムを構築中である。しかし、この実験システム構築に際して、短時間の間隔でモニターに視覚刺激を連続呈示することについてはパソコンにおける技術的制約と限界があり、実験条件が比較的限られてしまう。これを補う意味で、視覚刺激の実験と並行して、視覚刺激に代えて電気刺激を用いる体制感覚による実験もできるようにシステムを構築し、一部予備的な実験を実施した。これにより、刺激のマスキングと知覚体験をコントロールすることが視覚刺激よりも容易に行なえることが可能になり、体性感覚刺激による実験も並行して行なうこととした。この予備的な実験の結果、マスクされた先行刺激には知覚体験が生じなくても、反応はその先行刺激への反応となっていることが示された。これはすでに論文にまとめ学術雑誌に投稿し、掲載されることが決まった。これらの新しい展開により、当初の研究目的がさらに効果的に達成できることとなった。今後は、刺激認知の終了時点の同定として刺激評価系の指標であるP300についても分析し、無意識的な知覚(マスクされる先行刺激)、意識的知覚(自覚的に知覚される後続刺激)、および反応準備過程・反応出力のそれぞれの情報処理の時間関係を明らかにする実験を計画している。
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