1999 Fiscal Year Annual Research Report
有酸素運動が高次精神機能に及ぼす影響 -視覚と聴覚P3の単一施行解析-
Project/Area Number |
11680068
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Research Institution | Seinan Jo Gakuin University Junior College |
Principal Investigator |
八木 康夫 西南女学院短期大学, 教授 (80200476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林田 嘉朗 産業医科大学, 応用生理学, 教授 (40047204)
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Keywords | 有酸素運動 / 反応時間 / P300 / 感覚モダリティー / 単一試行解析 |
Research Abstract |
視覚及び聴覚刺激の反応時間(RT)が中程度の有酸素運動中に短縮することが報告されている。このことは中枢の情報処理過程におけるExercise Induced Activation (EIA)を反映することによるものと報告されてきた。本研究は運動中の情報処理の独立測定値(RT、正確性、P300潜時、P300振幅)の変化を調べた。そして、視覚と聴覚に対する関係を検討すると共に、P300潜時は運動出力に関係なく情報処理の速度の尺度として用い、P300振幅は認知の速度の尺度として用いた。20名の健常学生(内女子12名、20±2歳)は視覚と聴覚のオドボール課題を安静コントロール期と有酸素性運動期、回復期中に行った。先行研究と矛盾することなく、視覚と聴覚のRTは、コントロール期に比較して運動期に有意な短縮を示した。本研究の結果から、RTの変化に平行して、聴覚と視覚のP300潜時は運動中に減少し、両感覚のより速い情報処理を示唆した。しかし、聴覚と視覚のどちらも運動中にP300振幅が減少したことから、注意処理資源の配分量が減少したことが示唆される。更に、誤反応率は運動中増加した。まとめると、これらの結果は中程度の有酸素運動中に情報処理速度が加速することを示唆しており、いかなる感覚にも影響するけれども、それは減少した注意と増加した誤反応が伴うので、認知の過程の短縮だけでは無いと思われる。
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