2002 Fiscal Year Annual Research Report
有酸素運動が高次精神機能の認知と評価の過程に及ぼす影響-視覚及び聴覚P3の単一施行解析
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11680068
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Research Institution | Seinan Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
八木 康夫 西南女学院大学, 保健福祉学部・栄養学科, 教授 (80200476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林田 嘉朗 産業医科大学, 生態科学研究所, 教授 (40047204)
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Keywords | exercise / heart rate / body temperature / auditory and visual ERP / single-trial analysis / reaction time |
Research Abstract |
〔目的〕運動が高次脳機能にいかなる影響を及ぼすか、最適パフォーマンスを示すと報告される運動負荷において各セッションの単一施行ERP成分を解析し、身体運動と関連した情報処理過程の検討を行った。 〔方法〕健康な大学生18名に、運動期に聴覚と視覚オドボール課題(標的20%)を行わせた。運動は座位で自転車エルゴメータ(60W)を10分間行った。EEGとEOGは0.03-100Hzで増幅し、ECG、食道温およびRTと共にオドボール課題の間に測定された。加算ERPを参照に元脳波から同定したN1、N2、P3のピーク潜時はRTと共に解析した。加えて、N1潜時から反応速度定数Q_<10>を計算した。 〔結果〕運動は108から114bpmにHRを増加し、体温は0.5℃まで増加した。運動は、両モダリティーのN2、P3潜時とRTにおけるの4、5非標的(NT)連続後の標的を除き、両モダリティーの全ERP成分とRTを有意に短縮した(P<0.05)。それに対し、N1潜時は、どの施行も運動期の短縮に差はなかった。 〔考察〕運動期のN1潜時の短縮は、Q_<10>値が神経細胞の伝導速度や聴性脳幹反応の範囲にあり、標的出現の確率と独立したことから、体温が0.5度上昇したことに起因したと考えられる。それに対し、N2、P3潜時とRTは標的出現の確率による期待と集中の高揚により短縮し、4、5NTで最短の上限に達したと考えられた。値は神経細胞の伝導速度の範囲を外れ、体温上昇以外の要因が影響したことを示唆した。最適な運動は興奮と集中の効果がなくてもこれらの短縮が起きることが考えられた。運動は心拍数と同様に交感神経系の付随活動に伴う全身性の血圧も増加することが知られており、認知機能と交感神経活動間に関係があると報告されているので、本研究におけるgeneral arousing effectは運動中の循環器系の変化によって誘発されたと考える。
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[Publications] Yasuo YAGI, Haruhisa HIRAKAWA, Masayuki SHIMONO, Yoshiaki HAYASHIDA: "Effect of exercise on higher brain function : a single trial analysis of auditory and visual ERP components and reaction time"日本臨床神経生理学. 第30巻4号. (2003)