1999 Fiscal Year Annual Research Report
フランス地理学における「地球研究」の方法-とくに旧植民地地域を例に
Project/Area Number |
11680076
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野澤 秀樹 九州大学, 文学部, 教授 (00036998)
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Keywords | フランス地理学 / ヴィダル / 植民地理学 / 地域研究 / 熱帯地理学 |
Research Abstract |
旧植民地における地域研究を取り上げる前に、次の2つの問題を検討しておくことが必要とされた。 1.パリ大学の植民地地理学講座を担当したM.Duboisの「植民地地理学」の問題。M.Duboisとヴィダルの高弟L.Galloisとの間にAnnales de Geographie(AG)をめぐる争いがあり、前者がAGの編集を退くことで、植民地地理学の優れた方法(認識論的相対性)が、ヴィダル派の地理学から排除されてしまったと主張される(Soubeyran,1989,1997)。SoubeyranによるDuboisの植民地地理学に対する評価は、方法論的に過分であると思われるが、その評価には、ヴィダル派の植民地における具体的な地域研究の検討が必要である。 2.「植民地地理学から熱帯地理学への移行」の問題(M.Brunea,1989;M.Solotareff,1996)。この「植民地地理学」は上記のDuboisのそれとイコールではないが、1930-1960年代にかけていわゆる「植民地地理学」からヴィダル的な地理学研究への移行があった。そのターニングポイントにあるのがP.Gourouの地域研究Les paysans du Delta tonkyinois(1936)である。 3.以上の問題は、いずれも「植民地地理学」と「ヴィダル地理学」との違いが問題になっていることは明らかであり、植民地における地域研究とフランス本国における地域研究との比研究が必要とされることが明らかとなった。現在、パリ大学植民地地理学講座を担当したCh.Roboquainの地域研究Le Thanh Hoa(1926)とP.Gourouの地域研究Les paysans du Delta tonkyinois(1936)の比較分析を試みている。
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