1999 Fiscal Year Annual Research Report
アルプスにおける観光業と農業の共生システム-日本の中山間地域と比較して-
Project/Area Number |
11680085
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
石原 照敏 阪南大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (90035915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉羽 正昭 愛媛大学, 法文学部, 助教授 (50263918)
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Keywords | グリーン・ツーリズム / 牧歌的な景観 / 観光業と農業の共生システム / 計画・政策 / 持続可能の地域発展 |
Research Abstract |
ヨーロッパ・アルプス内五地域の実態調査の結果,計画的・政策的に,美しい牧歌的な景観が維持されている観光地には、多くの観光客が訪れ,農家民宿を含めて、観光業(とりわけグリーン・ツーリズム)が盛んになり、地域住民の兼業収入が生ずるとともに、住民に対する誇りが芽生え、さらには後継者が増加し、持続可能な地域発展がもたらされるという形で、観光業と農業の共生システムが形成されていることが明らかとなった。このシステムは,地域的条件に配慮すれば、日本の中山間地域にも適用可能なモデルとなり得るものである。 このシステムにおいては、牧歌的な景観がどういう計画・政策によって維持されているかが重要であるので、この点を各地域の実態調査で掘下げた。その結果、フランス・アルプスのヴァルモレルでは、観光業に課税して基金をつくり、それを牧草地の整備に投下するという形のユニークな地域開発計画契約の締結(コミューンが連合した地方分権化方式)によって、スイス・アルプスのシャトーデでは、ユネスコの「人間と生物圏」実験地域に指定されていることもあって、スイス連邦政府の強力な助成策(草地の生態系への配慮がなされている)によって、ドイツ・アルプスのヒンデランクやオーストリア・アルプスのヒィルゲンでは、EUの直接所得補償政策などのよって,牧歌的な景観が維持されていることが明らかとなった。
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[Publications] 石原照敏: "グリーン・ツーリズム研究の現状と課題"水資源・環境研究. 52-55 (1999)
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[Publications] 石原照敏: "「国際山岳観光都市」と観光産業-長野県白馬・八方尾根周辺地域-"阪南論集(人文・自然). 35巻4号. 27-43 (2000)
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[Publications] 呉羽正昭: "東欧革命に伴うオーストリア人の旅行パターンの変化"愛媛の地理. 14号. 49-60 (1999)
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[Publications] 呉羽正昭: "日本におけるグリーン・ツーリズムの展開と愛媛の状況"愛媛県社会経済研究財団研究報告書. 152-172 (1999)
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[Publications] 呉羽正昭: "日本におけるスキー場開発の進展と農山村地域の変容"日本生態学会誌. 49巻. 269-275 (1999)
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[Publications] 呉羽正昭: "チェコにおける観光客とその地域的分布の変化"中央ヨーロッパにおける市場経済化の進展と地域構造. 370-382 (1999)
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[Publications] 石原照敏,中村泰三,藤井宏志,中藤康俊,北村修二,中島茂: "激動する現代世界(石原照敏担当第1章地域研究の課題と方法1-5 第2章西ヨーロッパ119-150ページ"大明堂. 150 (1999)
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[Publications] 石原照敏,吉兼秀夫,安福恵美子編: "新しい観光と地域社会(石原照敏担当第1章マス・ツーリズムとオルタ大ティブ・ツーリズム1〜4ページ.第4章フランス・アルプス29-37ページ"古今書院. 121 (2000)