1999 Fiscal Year Annual Research Report
室内実験による凍結融解に伴なう斜面物質移動に関する研究
Project/Area Number |
11680087
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
曽根 敏雄 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10222077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 周二 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80295469)
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Keywords | 室内実験 / 凍結融解 / 斜面 / 物質移動 / ソリフラクション / アイスレンズ / 液性限界 / 傾斜角度 |
Research Abstract |
凍結融解作用に伴なう斜面物質移動のうち、特にアイスレンズの融解がソリフラクションに果たす役割を探るための次のような実験を行った。地中の析出氷の位置と融解後の土砂移動の生じる位置とを比較する目的で実験を行なった。凍結線、融解線と地表の位置の変化を観測することにより、地中のアイスレンズの析出位置を推定した。またチューブの変形により、土砂の移動プロファイルを推定した。小型水槽(内寸 : 長さ80cm×幅20cm×深さ40cm)を用いて、水槽を水平にして凍結を開始し、完全に凍結させた後、水槽を12度に傾けて室温を10℃に上昇させた。この実験の結果、厚さ1cm程度の析出氷が凍結前の地表から約7-8cm深さに集中する部分があることが、凍結過程および融解過程どちらからの観測結果からも推定された。また完全に融解した後に断面を切ってチューブの変形を観察から、チューブは融解後の地表下約7-8cmに屈曲部が確認された。したがってアイスレンズの多い位置が土砂の移動の顕著に生じる位置と一致することがわかった。また同じような実験を傾斜角度を12度から18度に変えて行なった。前述の実験同様に、表層付近ではアイスレンズの析出が多い位置に、顕著な移動が観察された。しかしより深い部分でも、アイスレンズは多くないと考えられるにもかかわらず、物質の移動が認められた。この部分では融解後の体積含水率は約40%と液性限界を超えていた。20cm程度の積載荷重ではあるが、傾斜が急になると、液性限界を超えている場合には、物質移動が生じると考えられる。しかしアイスレンズの多い部分と比較すると移動量は、それ程大きくはない。したがって凍結融解による土砂の移動メカニズムをより詳細に探るには、アイスレンズの析出の多い位置に注目することが大切であることが確認された。
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