1999 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸砂州の性状からみた日本の砂浜海岸の地形特性:野外調査・実験・モデリング
Project/Area Number |
11680094
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
砂村 継夫 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00011164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 一郎 京都教育大学, 教育学部, 助教授 (30197298)
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Keywords | バー(沿岸砂州) / 波の遡上限界 / 海底勾配 |
Research Abstract |
バー(海底砂州)が発達する海岸では、波はバー上で砕けやすく、その時、かなりのエネルギーを失うので、バーより岸側の波が小さくなる。これをバーの波に対するフィルター効果という。複数のバーが発達する多段バー海岸では、波は砕波を繰り返すことによって多くのエネルギーを消耗するので、バーのフィルター効果の総和は大きくなる。 石川県の羽咋市から小松市にかけての海岸は、場所的にバーの段数が異なる。北端部で4段、徐々に段数を減らし、南端部で1段となる。現在、この海岸において、バーの段数とフィルター効果との関係を調べているが、バーの段数が増加するにつれて、後浜上限高度(海岸の高さ)が小さくなることを確認している。これは、バーの段数が増えると、バーのフィルター効果の総和が大きくなるので、汀線砕波波高が小さくなり、その結果、波の遡上限界高度が小さくなるためであると考えている。一方、若狭湾沿岸・瀬戸内海沿岸・大阪湾沿岸・徳島県南部の小規模内湾群における現地調査の結果、内湾や内海ではバーが有効なフィルターとして機能していないことがわかった。これは、内湾や内海では波の規模が小さいので、バー上で波が砕けにくいためであると考えている。 次に、バーの段数と海岸全体の勾配との関連を、襲来波浪の地域差が少ないと考えられる上記石川海岸において調査した結果、4段から1段となるにつれて勾配が大きくなることがわかった。この関係は、北海道の日本海沿岸の天塩地区においても認められる。
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