2001 Fiscal Year Annual Research Report
最終間氷期以降における東アジアの風成塵堆積と古環境変動
Project/Area Number |
11680095
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
成瀬 敏郎 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (60033510)
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Keywords | 風成塵 / 東アジア / 最終間氷期 / 最終氷期 / 気候変動 / モンスーン変動 / レス / ESR分析 |
Research Abstract |
1. 昨年度までに北海道名寄盆地、福島県矢の原湿原、福井県中池見盆地、兵庫県黒井盆地で掘削した最終間氷期以降の泥炭層ボーリングコアの分析が、本年度、終了した。最終氷期にあたる岐阜県谷汲盆地(43〜12 ka)、韓国済州島(30〜0 ka)のコアも分析が終了した。 2. これらの分析結果をまとめると、(1)最終間氷期は夏季モンスーンが強く、増加した夏雨によって盆地・湿地には主に流水物質が堆積した。ポーラーフロントは北海道北部まで後退し、日本列島全域に中国内陸砂漠から中緯度コースを通って運ばれた風成塵が堆積した。(2)最終氷期になると、Interstadia1 24〜1のような短期間ではあるが温暖な時期に夏季モンスーンが強くなって流水物質が堆積し、Heinrich eventのような寒冷期には風成塵が多く堆積した。最終氷期には徐々に寒冷化し、急激に温暖化する気候変動が繰り返し起こったことが風成塵の堆積量変化によって確かめられた。東北地方では湿潤寒冷なMIS 3や4には山地斜面からのソリフラクション物質が多く堆積し、寒冷乾燥なMIS 2にはソリフラクション作用が不活発で、主に風成塵が堆積した。(3)最終氷期には瀬戸内海までポーラーフロントが南下した。内海以北はアジア大陸北部から高緯度コースを通って風成塵が運ばれ、太平洋側の岐阜県や瀬戸内以南には亜熱帯ジェット気流が中国内陸部砂漠から中緯度コースを通って風成塵を運んだ。(4)1.4万年前から夏季モンスーンが強くなって夏雨が増加し、風成塵が減少するとともに盆地・湿地には粗粒な流水物質が堆積するようになった。ポーラーフロントは北海道北部まで後退し、日本列島には亜熱帯ジェット気流によって中国内陸砂漠から中緯度コースを通って風成塵が運ばれるようになった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Chowdhury, M.E.K.: "Eolian dust deposition in the last glacial stage (43-12 ka) in Tanigumi moor, Gifu Pref., central Japan"第四紀研究. 40・3. 211-218 (2001)
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[Publications] 成瀬敏郎: "山口県のレス質土壌と生成時期"徳島地理学会論文集. 4. 13-18 (2001)
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[Publications] Chowdhury, M.E.K.: "福井県中池見湿原と兵庫県黒井盆地の泥炭にみられる過去11万年間のモンスーン変動"日本地理学会発表要旨集. 57. 160-161 (2000)
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[Publications] 成瀬敏郎: "豊陽平原における黄土台地の形成過程"日本地理学会発表要旨集. 59. 95 (2001)
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[Publications] チョードリ, M.E.K.: "福井県中池見盆地と兵庫県黒井盆地にみられる過去 110,000年間の古環境変動"地学雑誌. 110・5. 725-733 (2001)
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[Publications] 町田 洋: "日本の地形7 九州・南西諸島"東大出版会. 355 (2001)