2000 Fiscal Year Annual Research Report
環境負荷低減を目的とした酵素系漂白剤による色素の退色機構-色素の反応選択性-
Project/Area Number |
11680099
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
森田 みゆき 北海道教育大学, 教育学部・札幌校, 助教授 (10174434)
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Keywords | 酵素系漂白剤 / 色素退色 / 反応選択性 |
Research Abstract |
オレンジIIと,オレンジIIの同族体で退色速度が異なるオレンジI,オレンジGの3種の色素の共存下における色素の退色反応を検討した。 3種の色素を用い,単独系で活性化剤を用いた退色速度に及ぼすpHの影響を検討し,さらに色素を混合系で用いた場合の退色速度に及ぼすpHの検討を行った。オレンジI,オレンジII,オレンジGの酸化還元電位の結果と比較すると、退色速度定数は酸化還元電位が小さい方がより大きくなり、オレンジIの速度定数が最も大きくなる。一方,オレンジIIとオレンジGは,酸化還元電位はほぼ同じでかつ,pKaもほぼ等しいにもかかわらず,速度定数が全く異なり、アゾ色素の立体構造の違いが影響しているものと推定される。 色素を単独で活性化剤の有無を比較した場合,活性化剤を用いるとpHは7.5から9.0付近で速度定数は3.5から10倍増大した。色素混合系で活性化剤を用いなかった場合,pH8.0で速度定数が最大となり、活性化剤を用いた場合も同じpHで速度定数が最大となり約1.7倍増加した。 そこで、昨年度の結果もふまえて色素混合系の分解機構を詳しく検討した。色素混合系においてオレンジIとHRPとの反応にはオレンジIIやオレンジGが共存は影響なく,反応はすみやかに進行した。一方,オレンジIIとオレンジGは共存することによって反応速度が単独の場合とは異なり,オレンジIIは遅くなり,オレンジGは早くなった。これは,酵素の基質特異性や色素の酸化還元電位の違いにより,色素のラジカル生成速度が異なる事が原因と考えられる。
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