1999 Fiscal Year Annual Research Report
日本の農家の家族経営協定における生活協定指標に関する研究
Project/Area Number |
11680123
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Research Institution | Showa Women's Junior College |
Principal Investigator |
天野 寛子 昭和女子大学短期大学部, 生活文化学科, 教授 (80054154)
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Keywords | 家族経営協定 / 生活協定 / 生活指標 / 生活設計 / 生活時間 / 女性農業者 / 男女共同参画社会 / パートナーシップ |
Research Abstract |
平成7年以来、農家の家族経営協定が施策として普及推進されており、締結数は平成11年8月農林水産省の調査においては12030戸である。現在締結されている家族経営協定において、問題となっている点は、(1)生活のバランスと(2)女性の地位向上に関わる項目、すなわち生活協定が無視されたり、内容的に貧弱になりがちな点である。今後、生活経営協定を充実させていくことが課題である。本研究では、生活協定項目の提案をしていくことを目的とするが、そのための農家夫妻の基礎的データとして、家族経営協定に強い関心をもつ農業者夫妻50カップルの生活時間調査とアンケートによる意識調査を実施した。生活時間調査結果について述べる。 生理的生活時間、全労働時間(農業労働+家事労働時間)、社会的文化的労働時間それぞれにおいてジェンダーを反映している。 1)生活のバランスの視点からは、2点指摘できる。(1)農休日の取得率が夫62%、妻72%である状況と、(2)労働時間が労働偏重で、豊かで人間らしい労働力の再生産のための時間は少ない状況にある。これは家事労働時間の平等分担や社会的文化的生活時間の最小限の保障を指標化し提案する必要を示している。 2)女性の地位向上視点からは次の2点指摘できる。(1)全労働時間は妻の方が長いにもかかわらず生理的生活時間は夫より短く、(2)中でも家事労働時間は著しく妻に偏り、(3)社会的文化的生活時間は夫も短いが、妻はその夫の70%にすぎず、不平等な状態となっており、これを衡平で平等なものにしていくための指標を提案していく必要を示している。 3)妻の家事労働時間もまた、一般の農家の状況と比較するならば短縮されている。夫の母親によって家事が担われるようになっていることを意味する。これは(1)親世代の生活設計とも関わらせた家事労働の経済的評価、(2)人間らしい生活を営むための夫の家事・世話能力の育成に関する指標を提案する必要を示している。
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