2000 Fiscal Year Annual Research Report
ショウガの新しい酵素系の解明およびその食品機能学的研究
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11680128
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
久保田 紀久枝 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (90008730)
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Keywords | ショウガ / シトラール / ゲラニアール / アルコールデヒドロゲナーゼ / グルコシダーゼ / ゲラニオール |
Research Abstract |
ショウガの抗がん活性成分であるゲラニアールおよびネラール(シトラール)は新ショウガには少なく、成熟、貯蔵したひねショウガに多い。ショウガにはこの反応に関与し、特にゲラニオールに基質特異性を持つアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)が存在することを11年度に確認した。本年度は、本酵素の至適pH、成熟・貯蔵中の酵素量の経時的変化、ショウガ栽培種の違いによる活性比較を行った。検討の結果、本酵素の至適pHは9.0であった。また、収穫前70日(新ショウガ)、収穫後貯蔵0日、14、30、60、90日の試料についてゲラニオールを基質としてADH活性を測定した結果、収穫後2週間目に極大となった。栽培種の異なる自然栽培種である土佐一と交配種である黄金の里の2種類のショウガについてADH活性を比較した。その結果、土佐一の方が活性が強い傾向が見られ、貯蔵2週間後のADH活性は、新鮮重量100gあたり、約8unitを示し、未熟ショウガに比べ3倍高い値であった。乾物重量やタンパク質量あたりに換算した場合も傾向は同様であった。黄金の里も経時的変化は同様の傾向を示したが、その活性は土佐一の約50%と弱かった。 また、基質となるゲラニオールの生体内生成に関与すると想定されるグルコシダーゼ活性の経時的変化を調べた結果、グルコシダーゼ活性もADH活性とよく対応していた。 機能性成分の主成分ゲラニアール絶対量も同時に測定し、両酵素活性との相関を調べた。その結果、ゲラニアール量は収穫後0日から2週間後または30日後までは増加傾向が認められ、その後はほぼ平衡状態であった。すなわち、ADHおよびグルコシダーゼ活性とゲラニアール生成量はよく相関し、両酵素が機能性成分の生合成に深く関与していることが強く示唆された。以上より、ショウガの機能性成分を食生活に有効に活用するには、品種やショウガの齢など生体変化を把握し利用することが重要であることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Sekiwa,A.Kobayashi,K.Kubota,M.Takenaka: "First Isolation of Geranyl Disaccharides from Ginger and Their Relation to Aroma Formation"Natural Product Letters,. (in press.).
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[Publications] 関和陽子,相澤陽子,森光康次郎,久保田紀久枝: 香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会講演要旨集. 282-284 (2000)