2000 Fiscal Year Annual Research Report
食物アレルギー誘起因子のスクリーニングおよび小麦アレルギーに関する研究
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11680138
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
木本 眞順美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (40108866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹川 貴代 岡山県立大学, 保健福祉学部, 講師 (10254567)
沖田 美佐子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (70079242)
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Keywords | Wheat allergen / Tria Bd 27K / Glycoprotein / IgE / cDNA cloning |
Research Abstract |
食物アレルギーは今なお深刻な社会問題となっている。最近行われた食物アレルギーに関する広域疫学調査の結果、小麦は卵、牛乳に次ぐアレルギー食品であることが明らかにされた。小麦はその生産量および消費量の点から穀類のうち最も重要な食糧の一つであり、多くの食品の素材として用いられている。従って、小麦中のアレルゲンの解明は小麦アレルギーに悩む患者にとっては極めて切実な問題である。私たちの研究室では、既に小麦においては約15種類のアレルゲン成分の存在を認め、そのうち2種の成分についてはα-アミラーゼインヒビターならびにペルオキシダーゼであることを明らかにした。また、昨年度は患者血清の70%と反応する主要なアレルゲン、Tri a Bd 27Kの単離・同定を行い、N末端より30残基の部分的なアミノ酸一次構造を明らかにした。また、本アレルゲンはフコースを含む糖鎖を結合していることが示唆された。 本年度は、Tri a Bd 27Kのアレルゲン性など詳細に解析するために本アレルゲンをコードするcDNAをクローニングすることを目的に実験を行った。まず、Tri a Bd 27Kのアミノ酸一次構造上の情報を得るために小麦より単離・精製した本タンパク質をトリプシンによりゲル内消化した。得られた断片ペプチドを逆相HPLCにより分離し、そのN末端アミノ酸配列分析の結果、新たに2カ所の内部アミノ酸シークエンスを明らかにした。これらの情報に基づいて数種の混合プライマーを合成し、登熟期の小麦より調製したmRNAを鋳型としてRT-PCRを行った結果、鎖長82bpおよび435bpの2つのPCR産物を得た。これらをpGEM-T Easy Vectorにサブクローニングし、塩基配列分析を行った。得られた塩基配列から推定されるアミノ酸配列は精製タンパク質から得られたそれらをすべて含んでいた。最終的に得られた結果を総合すると、N末端から153残基のアミノ酸配列が明かとなった。現在、さらに5'-,3'-RACE法を用いて本アレルゲンをコードする完全長のcDNAクローンを得る方向で研究を進めている。
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