2000 Fiscal Year Annual Research Report
培養細胞を用いたアレルゲンの腸管透過性と通過経路に関する研究
Project/Area Number |
11680155
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
南 久則 熊本県立大学, 環境共生学部, 助教授 (50136230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 正 京都大学, 食糧科学研究所, 教授 (80027193)
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Keywords | Caco-2細胞 / 抗原取り込み / フローサイトメーター / FITC-オボアルブミン / FITC-デキストリン / インターフェロンガンマ |
Research Abstract |
前年度の報告書において,ヒト大腸腺癌由来細胞株Caco-2細胞を透過性のあるフィルター上で培養した後,インターフェロン-γ(IFN-γ)刺激すると、オボアルブミン(OVA)の小腸上皮細胞通過量が増大することを報告した。しかしながらCaco-2細胞によるOVA取り込み機構そのものについては明らかでない。そこで,本年度の研究では,Caco-2細胞によるOVAの取り込みをフローサイトメーターを用い検討した。 フローサイトメトリーによるFITC-OVAとFITC-DXの取り込み 約3週間培養したCaco-2細胞をFITC-OVAあるいはFITC-デキストリン(100μg/ml)と37℃で15〜120分反応させ後,細胞内への取り込みの程度をフローサイトメーターを用いて解析した。FITC-OVAと120分間インキュベートした細胞はFITC-OVAを取り込ませていない細胞に比し蛍光強度の強い細胞群の割合が増大した。蛍光強度の増大した細胞群には蛍光強度の弱い細胞群と強い細胞群が認められ,それぞれ細胞表面への結合(binding)と,細胞内蓄積(incorporating)に相当するものと考えられる。細胞表面への結合と細胞内蓄積を合わせた部分(FITC-ポジティブ細胞)の割合は120分までほぼ時間依存的に増加し,その程度はIFN処理群で大きかった。細胞内蓄積と細胞表面への結合に分けて解析すると,INF刺激した細胞では、FITC-OVAの細胞内蓄積が著しく増加し、二相性の取り込みパターンが顕著化した。一方、FITC-デキストランの細胞内取り込みはINF刺激後もほとんど変化が見られず二相性のパターンも認められなかった。このことはFITC-デキストリンは細胞表面に結合するのみであるのに対し,FITC-OVAは細胞表面に結合した後,細胞内に移行することを示唆している。IFNは取り込んだ抗原の細胞内移行と蓄積を促進しているのであろう。 IFNの効果の作用機序,抗原の細胞内蓄積と局在性について現在検討中である。
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Research Products
(1 results)