2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680165
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
小川 俊夫 金沢工業大学, 工学部, 教授 (50183249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 敏 金沢工業大学, 工学部, 助教授 (50259636)
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Keywords | 漆器 / 耐光性 / 蛍光ランプ / 文化財 / 光沢 / 色差 / 表面分析 |
Research Abstract |
天然高分子材料のひとつである漆は9000年以上も前から使用されてきた塗料であり,接着剤である.そして,明日香時代以来多くの家具,食器,文化財建築物が漆を使って製作されてきた.これらは,貴重な文化財である.また漆は,現代においても美術工芸品という立場の他に実用品としての立場もあり,漆器や家具にも使われることが多い.しかし,漆器は優美な艶や色彩を持つなど日本が誇る伝統工芸品ではあるが,漆は有機物であり,有機物は無機物よりも本質的には弱く,また漆の短所として耐光性が良くない点は多くの研究者が指摘している.そこで,昨年から実用品の立場から漆塗装物の耐光性向上の研究を進めてきた. 具体的には,漆器の耐光性向上方法として,臭素付加による表面改質を行った.臭素付加方法として漆器(黒漆,コースター)を飽和臭素蒸気中に短時間(10分〜30分間)曝した.その耐光性向上効果を紫外線暴露試験から検討したところ,非常に高い耐光性改善効果を示した.また最適臭素付加時間は10分〜20分間程度であれば漆が有している特長を損なわないことが明らかとなった.さらに,この臭素付加による耐光性向上方法は,どのような環境下において有効であるか検討するために,臭素付加漆器を屋外環境下及び屋内環境下においてそれぞれ暴露試験を行った.その結果,屋外環境下では,条件があまりに過酷で実用化は難しいが,屋内環境下であれば非常に高い耐光性改善効果を示した.
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Research Products
(1 results)