Research Abstract |
今年度は,1)沖縄島の台地上での「実験貝塚」の回収,2)沖縄島の台地上での「実験貝塚」の設置,3)沖縄島の海岸部での「実験貝塚」の設置を行った.1)実験貝塚は,約1.5リットルで目合い2mmのザルに,食用後の貝殻等を入れて作成したものである.設置場所は,南部の石灰岩台地上の那覇市首里末吉公園の二次林内である.1年間放置した結果,魚類は当然腐っていたが,魚類のあった部分は,他と識別できる土壌になっていた.また,一部のセットでは,陸産貝類の死んだ殻が流入してきており,同時にヤスデやワラジムシ等の大形土壌動物の存在が確認された.これらの土壌動物では,貝塚が出きることにより,空間の増大に伴ってその活動層位を下方まで広げているようであった.それに伴い,死んだ貝殻や魚類の骨が下方へ動かされるいるようであった.実験貝塚には,いくつかのセットを準備したが,人間により,掘り返されていたので,継続的な観察は行えなかった. 2)前回とほぼ同様な実験貝塚を設置した.今回は,各種のボタンやビーズ等,大きさと形状の異なる「遺物」を貝塚上に撒き,次年度以降,その動態を検討することとした. 3)サザエ類の殻とフタをマーキングして,「実験貝塚」を海岸部の前面と後部の海岸林内に設置した.海岸林内には,台地上と同じように貝殻のみを地表面に置くだけの「実験貝塚」も設置した.次年度以降,本格的な検討を行う.ただ,数日間で,サザエのフタはオカヤドカリ類に持ち去られ,別な貝殻が放置されている例が見いだされ,これまでの貝塚でのオカヤドカリ類の使用痕のある貝殻の出土を実験的に検証できた.さらに,海岸の前面に設置した貝塚は,台風のため,流されてしまったが,実際の貝塚でもこのような現象が生じる可能性を示せたと考えられる.
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