2001 Fiscal Year Annual Research Report
子ども達の認識を顕在化し思考のプロセスを再現できるポートフォリオシステムの開発
Project/Area Number |
11680175
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
片平 克弘 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (70214327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益子 典文 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助教授 (10219321)
清水 誠 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (30292634)
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Keywords | ポートフォリオ / 学習者理解研究 / 理科教育 / 数学教育 / 評価研究 |
Research Abstract |
本研究では,教授活動や評価活動を支援するために,潜在的な子どもの見方や考え方,とりわけ,子ども独自の科学的認識の変容を反映しているものをポートフォリオとして保存し,これらを積極的に活用し,そのシステム的な運用を実践的に試みた。 本年度も,昨年度に引き続き,ポートフォリオの中に,子どもの学習の様子,思考の過程,作成した作品,反省的思考やメタ認知の様子などの保存を試みた。小学校・中学校・高等学校における実践の中では,児童や生徒自らが作成したポートフォリオをもとにこれまでの学習を振り返りながら新たな学習にのぞむようになった。さらに,教師がポートフォリオの使用を工夫することにより児童・生徒が積極的にポートフォリオを活用するようになり,必要に応じて自己評価や他者評価を行えるようになったことが明らかになった。また,今回の研究実践に携わった教師達は,ポートフォリオを活用することによって,より詳細に子ども達の実態を把握できるようになった。 さらに,ポートフォリオアセスメントの評価指標であるルーブリックの使用に関しては,結果指向の評価活動からプロセス指向の評価活動へ移行する契機になることが確認できた。特に,インターネット上での学校と大学研究室のコラボレーションでは,具体的な課題と,そこで観察された学習者の反応を十分に検討しながらルーブリックを構築することの重要さを指摘した。 本研究により,子ども独自の科学的認識を授業の中で積極的に評価し,活用することが可能となった。しかし,教師がこのような子どもの認識の変容を,授業の中で本格的に生かした活動を行うことにはまだ多くの困難が伴っている。
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[Publications] 片平克弘: "理科におけるポートフォリオ評価の意義"理科の教育. 50. 12-15 (2001)
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[Publications] 手塚基子, 片平克弘: "メタ認知能力の視点から探るイオン概念獲得に関する研究"理科の教育. 51. 203 (2001)
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[Publications] 清水誠: "新学習指導要領の理科と実践上の課題"日本科学教育学会年会論文集. 25. 315-318 (2001)
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[Publications] 清水誠: "魅力ある理科授業をつくる"理科の教育. 4-7 (2001)
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[Publications] 益子典文, 森田裕介: "科学教育におけるルーブリックの開発と利用に関する基礎的研究(1)"日本科学教育学会年会論文集. 25. 425-428 (2001)
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[Publications] 森田裕介, 益子典文: "科学教育におけるルーブリックの開発と利用に関する基礎的研究(2)"日本科学教育学会年会論文集. 25. 429-430 (2001)
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[Publications] 長洲南海男, 片平克弘他: "全米科学教育スタンダード"梓出版. 258 (2001)