2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680178
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 賢次郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60012506)
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Keywords | 空間認識力 / 立体視 / 図学教育 |
Research Abstract |
本研究においては、通常の心的切断テスト(Mental Cutting Test:以下、MCT、見取り図で立体と切断面を与え、その切り口を5つの選択肢から選ぶテスト、空間認識力テストの一種:全25題)においては見取り図で与えられる問題図形を、液晶シャッター式立体視眼鏡によって両眼立体視するシステムを構築し、調査を行った。この調査結果を、通常のMCTの調査結果と比較することにより、MCTが空間認識力のどのような側面を評価しているのかについて検討した。 主要な結果は以下の通り。1)立体視によってMCTの平均得点は有意に上昇した。この得点上昇は、一部の問題(6題)の正解率の向上によって生じており、多くの問題(19題)においては正解率の向上は認められなかった。2)立体視により正解率が向上した問題群においては、誤答が、主として、"(1)立体形状の認識過程、および、立体と切断面の相対位置の認識過程"において生じていることが示された。一方、立体視により正解率の向上が認められなかった問題群においては、多くの誤答が、(2)"切り口形状の生成過程"、(3)"見えない部分の処理過程"、および、(4)"量判断過程"において生じていることが示された。3)(2)〜(4)の処理過程は、(1)のような視覚刺激の直接的な処理過程のみではなく、何らかの推論、または、考察を伴う処理過程である。1、2)で述べたように、MCTにおける誤答の多くはこれらの過程過程において生じており、MCTにおいては、被験者の推論・考察能力が重要な役割を果てしていることが示された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tsutsumi,E.: "A Mental Cutting Test on Female Students Using a Stereographic System"Journal for Geometry and Graphics. 3・1. 111-116 (1999)
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[Publications] 斎藤孝明: "実写映像立体視MCTとの比較によるMCT誤答原因の考察"図学研究. 33・4. 3-10 (1999)
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[Publications] 堤江美子: "液晶式立体視システムを用いた中・低得点者への切断面実形視テスト"図学研究. 34・4. 17-22 (2000)
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[Publications] Saito,T.: "Errors Analysis of Mental Cutting Test Using a Photo-Stereographis System"Proc.of the 9th ICGG. 394-398 (2000)