1999 Fiscal Year Annual Research Report
初等・中等教育段階の接続性をもつ数学的活動カリキュラムの開発と評価
Project/Area Number |
11680182
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大谷 実 金沢大学, 教育学部, 助教授 (50241758)
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Keywords | 数学的活動 / 接続性 / 現実的数学教育 |
Research Abstract |
本研究は、算数・数学科のカリキュラム開発と評価に、「数学的活動」という新しい視点を組み入れることを意図している。ことに、本研究では、三年間という研究期間を考慮し、小学校高学年における算数教育と中学校低学年における数学教育に焦点をあて、これらの学校段階間における接続性(アーティキュレーション)を、数学的活動という観点から打ち立てることを目的とした。本年度は、初等・中等教育を貫く数学的活動論を構想するとともに、数学的活動に基づくカリキュラム構成と評価の指標を作成を試みた。先ず、数学的活動と呼ばれる複雑な思考活動の構造を明らかにするために、種々の数学的活動のモデル論を総合的に検討した。特に、オランダのフロイデンタール研究所が開発した「現実的数学教育」(Realistic Mathematics Education)と呼ばれるカリキュラムを文献学的に検討し、その特徴を明らかにした。現実的数学教育は、二種類の数学化(「水平的数学化」と「垂直的数学化」)と、ファン・ヒーレの「思考水準論」をカリキュラムの構成原理としていることが見いだされた。ここで、水平的数学化とは、観察・実験。帰納的推論を通して、事象を厳密な数学的な手段によってアプローチしうるものに変形する活動を意味し、垂直的数学化とは、数学的な体系内で解法を形式化し一般化する活動を意味する。このように、数学的活動に基づくカリキュラムの構成原理を明確化する一方で、金沢市内の公立小学校と中学校の算数・数学科の教師グループと協議し、関数の単元を素材として、小・中の接続性を視野に入れた数学的活動カリキュラムについて検討を行い、その具体案と評価基準の作成を試みた。
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Research Products
(1 results)