2001 Fiscal Year Annual Research Report
理科授業における実験・観察活動の質的改善に関する基礎的研究
Project/Area Number |
11680188
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山崎 敬人 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (40284145)
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Keywords | 理科授業 / 実験 / 観察 / 理科授業観 / 実験・観察観 |
Research Abstract |
理科授業において、実験・観察という学習活動は極めて重要な意味をもっている。しかしながら、実験・観察が授業で積極的に取り入れられていても、授業そのものの実態が子どもの科学的な見方や考え方を育成するものとはなっておらず、実験・観察が確かにその体験的な効果を発揮しつつも、実質的には教師主導による知識注入的な授業のための手段となってしまってはいないだろうか。このような実態の背景には、実験・観察という学習活動に対する教師や子どもの認識、あるいは両者の認識のずれが関係しているのではないかと考えられる。そこで本研究では、理科授業における実験・観察活動に対する教師と子どもの認識の実態を、質問紙調査や授業実践などの分析により明らかにし、理科授業における実験・観察活動のあり方について検討することを目的とした。 本年度は3年計画の最終年次であるが、第一に、2年次後半に教師志望学生を対象として実施した理科授業観および実験観察観に関する質問紙調査の結果を分析し考察した。その結果、彼らが実験・観察のもつ体験的な効果や子どもの興味や関心などを喚起する側面を重視していることが明らかになった。と同時に、彼らは実験・観察の意義やあり方に関する幾つかの知識や理解、考えを保持しているものの、それらを相互に関連付けて体系化するまでには至っていないのではないかという実態もうかがえた。第二に、本年度に中学生を対象として実施した、理科授業に関する質問紙調査の分析・考察を行った。その結果、中学生は理科授業の楽しさの条件として実験・観察の体験的な側面だけではなく、実験・観察を行うことにより知識・理解が促進したり深化したりすることも重視していることなどが明らかになった。以上の分析・考察等を踏まえ、3年間で実施してきた質問紙調査や授業分析等の結果の分析及び考察を総括した。
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