1999 Fiscal Year Annual Research Report
テレビ暴力番組が子供の非社会的行動に与える効果についての研究
Project/Area Number |
11680252
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
和田 正人 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (40302905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 輝美 獨協大学, 外国語学部, 教授 (70235258)
阿久津 喜弘 国際基督教大学, 大学院, 教授 (30052236)
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Keywords | テレビ暴力番組 / 非社会的行動 / 番組接触 / 第三者効果 |
Research Abstract |
本研究は、子供の暴力番組への接触行動を類型化し、カタルシス理論、観察学習理論、脱感作理論、カルテイベーション理論の4つのテレビ暴力理論との対応関係を明らかにし、その上でそれぞれの類型に属する視聴者に、対応する理論の効果が表れるか否かを検証することを目的とした。接触行動を類型化するにあたっては、「空想志向的接触」、「現実志向的接触」の概念、及びアンビバレンスの概念を用いることとした。また、効果を測定する尺度としては、それぞれの理論の概念に基づき、対応すると考えられる非社会的行動の尺度を用いることとした。 そのために、本年度は、テレビ暴力、テレビ接触の志向、アンビバレンス、非社会的行動に関する文献を収集、検討した。さらにコンピュータに入力、データベース化の準備を行った。 次に、テレビ暴力番組の基準設定と選定を行った。テレビ暴力番組の基準は、基本的に佐々木(1991)による「人間、生物、または無生物の対象に、物理的、心理的危害を直接的、間接的に与える行為の描写を含む、テレビによって放映される劇、長編特作物語、マンガなどの、虚構的物語番組及びコメディー番組」(p.7)を用いることが、収集した文献等に基づき、妥当性があると考えられた。 さらにこの基準の「コメディー番組」について、この番組への接触が、自分よりも他人の方が大きい影響があるとする第三者効果を支持すれば、基準の妥当性が実証されたと考えられる。そこで、仮説「人は暴力番組の影響が自分よりも他人に大きいと認知する」が設定され、大学1年生423名を調査対象にして、「コメディー番組」としての笑い中心型暴力番組11番組について、自分自身と他人の影響が測定された。自分の影響が最小と認知したグループのみが仮説を支持した。この結果より、コメディー番組を暴力番組とするには、接触者が暴力番組と認知するかどうかの視点も必要であると考えられた。
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