2000 Fiscal Year Annual Research Report
高等教育におけるアカデミック・ライティング:その現状と展望
Project/Area Number |
11680263
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小林 ひろ江 広島大学, 総合科学部, 教授 (50205481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
リナート キマロル 広島市立大学, 国際学部, 教授 (20195390)
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Keywords | 国語教育 / 高等教育 / アカデミックリテラシー / 12ライティング / アカデミックスキル |
Research Abstract |
平成12年度は、11年度の学生へのアンケート調査に引き続き、教師へのアンケート調査(「教員からみた高校国語教育に対する意識調査」/「教員からみた学部生のレポート・卒論に対する意識調査」)を行った。以下は、前回の調査と今回の調査の主な結果をまとめたものである。 高校でのリテラシー(読む・書く)教育について (1)日本では「読解能力」の育成に重点が置かれ、「表現能力」の育成は授業の中では頻繁に行われておらず、学習指導要領(国語編)に記載されている内容との間に乖離がみられる。その理由として、クラスサイズや効果的な指導方法の欠如が挙げられる。 (2)しかし、大学入試に小論文を課す大学が増加するに従い、課外授業で小論文指導が行われ、多くの高校3年生がこうした指導を受けている。この事実から、日本の高校生について母語によるライティング経験が希薄であるという海外での指摘は必ずしも当てはまるとは言えない。 (3)これからのリテラシー教育について、半数以上の教師が「読解能力」と「表現能力」の育成のバランスが必要であると考えている。 大学でのリテラシー教育について (1)統計分析の結果、リテラシーは、文章作成能力とアカデミック・スキル(要約する力、批判力等)の二つの能力から構成されていることが判明した。学部生、大学院生ともに文章作成能力をより重要であると捉えている。 (2)学生への指導は、学問分野や教師によって異なる。一般的に、欧米で教育を受けた教師や外国人は正しい引用の仕方や論文作成能力の育成に積極的な姿勢がみられる。 最近では、高校と大学での接続問題が高等教育で議論されている。本研究は、リテラシー教育の一貫性の重要性から、学生と教師の両面からリテラシー教育の現状と展望を明らにしようと試みた。研究結果は、日本での高等教育ばかりでなく、海外での日本人留学生の英語リテラシー教育にも有益な情報を提供できると考える。
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