1999 Fiscal Year Annual Research Report
奈良女子高等師範学校附属小学校における算術科カリキュラムの研究
Project/Area Number |
11680269
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
植田 敦三 広島大学, 学校教育学部, 助教授 (50168621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 よし雄 広島大学, 学校教育学部, 教授 (70093739)
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Keywords | 数学教育史 / 算術 / 作問 / カリキュラム |
Research Abstract |
本研究では、奈良女子高等師範学校付属小学校訓導であった清水甚吾が提唱した「作問中心の算術教育」の全体像を、彼が指導した学級での実践を通して明らかにすることを目的としている。作問は当初、優等児童による演習問題提出法の一つという捉え方がなされていたが、清水が「学習は自己の発展それ自身を目的とする」という生活教育の観点から算術を捉え直し、作問を生活表現として生活算術の中に位置付けようとするとき、参考にできる先行実践はほとんどなかった。その結果、清水は奈良附小において、大正9年に入学した1年生の学級を6ヵ年継続して指導しながら「作問中心の算術教育」の実践上の問題点を明らかにするとともに、その解決のための方策を手探りの状態で探求せざるを得なかった。この6ヵ年の実践的研究を通して作られた算術科カリキュラムは、昭和2年からの6ヵ年の実践を通して検討された。特に、現場の教師から投げかけられた実践上の課題である「事実、形式の発展的系統に関する問題」、「国定算術教科書との関連性に関する問題」に答えようとした。その研究過程には、児童の自発問題の傾向を調査し、それをカリキュラム構成に生かそうとするなど科学的な研究姿勢がうかがえる。
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