1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680272
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
吉川 幸男 山口大学, 教育学部, 助教授 (40220610)
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Keywords | 歴史理解 / 言語表現 / 歴史授業 / 歴史学習 |
Research Abstract |
2年間の研究期間のうち、今年度は1年目である。今年度の成果は、以下のとおりである。 1.予備調査として英米の先行研究を分析・検討し、現段階で明らかになっていることと日本における研究上の課題を確認した。英米においては研究が授業実践の場に即して臨床的に行われており、特に言語理解に関する認知心理学や分析的歴史哲学の知見が積極的に導入されようとしている点が大きい。日本においても日本語の言語表現に即した歴史の学習心理研究の方法が開発される必要がある。 2.歴史学習において使用される歴史に関するメディア媒体(歴史教科書、歴史物語、歴史ビデオ教材を含む)における歴史言語表現を収集し、分析・検討することを試みた。この中で歴史理解のためのさまざまなレトリック表現を収集し、ある程度分析のためのフレームワークとして類型化することができた。 3.歴史授業において使用される歴史言語表現を、授業を収録することによって収集し、分析・検討を試みた。しかし収録した授業はあまりに無作為に選択したため、一律の観点で分析することは困難で、分析する前にそれぞれの授業の場面に即して分析枠を再検討する必要があった。このため、この作業は予定より遅れ、次年度にずれ込む見通しとなった。具体的な成果は次年度に明らかにする予定である。 4.上記2・3の検討に基づき、歴史を記述した物語テクストを質問紙として準備し、学習者がそれに対して読み取った歴史理解を言語で表現したり、理解困難な点を言語で表現するような調査を行う予定であったが、これも次年度にずれ込む見通しとなった。次年度は今年度収集したデータを分析して研究論文に発表したい。
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