2000 Fiscal Year Annual Research Report
第2言語教育における化石化現象とそのクリニック・シラバスの開発に関する研究
Project/Area Number |
11680289
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
望月 通子 関西大学, 外国語教育研究機構, 教授 (20219976)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船城 道雄 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (00022210)
|
Keywords | 化石化現象 / クリニック・シラバス / 日本語教育 / 誤用分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は外国人が日本語を学習する時に生じる化石化現象を調査し、そこで得られた結果を基にして化石化を克服するためのクリニックシラバスを開発することである。 学習者は日本語習得のある段階で固定化した誤用をおかしながら習得していくが、そのうちのいくつかの誤用が化石化して克服できないままに不完全な日本語を身に付けてしまう。いったん化石化が起きてしまうと同じ誤用を繰り返すことになり、学習効果があがらなくなる。 本年度は、昨年度に引き続き関西大学の留学生を対象に日本語習得の資料を収集し、誤用分析を行った。ベルギー、米国、英国、オーストラリア、中国、韓国、タイ、フランスからの交換留学生が関西大学国際交流センターの日本語プログラムに参加しているので、自由なテーマで日本語作文を書かせ、語用例を収集した。 また、フルタイムの留学生は中級以上のレベルの日本語を習得しており、このレベルになると流暢な日本語を駆使するが、かえって典型的な化石化を起こしている事例が数多く観察された。授業のたびごとに毎回自由課題の3分間スピーチを行って資料収集に努めた。顕著な特徴は語彙の誤りが実に多いことである。中級レベル以上の留学生の語彙はもっとも指導が必要である。 超上級レベルの留学生が母語で書いたものを他の留学生に日本語に翻訳させる方法を採った。例えば、韓国の学生が韓国語で翻訳させたものを資料とした。同じ被験者に母語で書かせて、日本語に直させると、自分の知っているものしか使用しないという幣がある。日本語習得がどのあたりで化石化現象を起こしやすいかを調査したが、外国人には複合動詞の習得が困難であることが分かった。本研究の最終目標であるクリニックシラバスの開発に取り上げるべき問題であることが分かった。
|