2000 Fiscal Year Annual Research Report
地域の祭りと民俗芸能の理解-保育者を目指す学生に内在する伝統的音楽文化に基づいて-
Project/Area Number |
11680296
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Research Institution | Nakamura Gakuen University Junior College |
Principal Investigator |
久富 さよ子 中村学園大学短期大学部, 幼児教育科, 教授 (50078549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松園 聡美 中村学園大学短期大学部, 幼児教育科, 助手
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Keywords | 幼児 / 音楽教育 / 民俗芸能 / 保育科学生 / 文化 / 遊び / 祭り / 地域 |
Research Abstract |
本研究は先の研究(地域における伝統的音楽文化の理解-保育科学生の実践を通して科研平成8〜10年)に基づいた継続研究である。本研究では保育者を目指す学生が、その地域に伝承された音楽文化の価値や意味を理解し、将来保育に位置付けることが出来るようになるための教育内容や方法を学生に内在する日本の伝統的な音楽文化に基づいて検討することを目的としている。今年度の研究成果は次の通りである。 1、昨年に引き続き、日本の各地にのこる祭りと民俗芸能を人のくらしや音楽等の観点から調査した。今回調査対象となった地域等は岩手県遠野市における遠野郷八幡宮の大祭、沖縄県那覇市、沖縄市における民俗芸能エイサー、宮崎県高千穂市における神楽、三重県伊勢市伊勢神宮および、東京都明治神宮である。 2、保育と伝統的な音楽文化との接点を明らかにするために、今年度は特に岩手県遠野市に伝承された「わらべうた」の調査を行った。調査は一人の語り部を対象に、インタビューを繰り返し、遠野にのこる子育ての方法と子育てに使われたわらべうたを詳細に調査した。調査結果の一部を全国大学音楽教育学会において発表し、学会誌に投稿した(遠野のわらべうたが伝えるもの-阿部ヤエへのインタビューに基づいて)。 3、調査した祭りや民俗芸能は編集し、保育科学生を対象とした保育内容「表現音楽」において学生に日本の伝統的な音楽文化を理解させるための教材として利用した。さらに理解を深めるために、沖縄のエイサーを鑑賞し、体験させることや福岡県の民謡黒田武士を踊ることを授業のなかで実践した。なお学生のこの体験はさらに地域の小学校や、保育園における子どもたちに、学生の手によって伝えられ、ともに実践する試みへと発展した。 まとめ:今年度の調査から改めて日本の各地にのこる文化の素晴しさと深さとを実感している。今日、子育てや学校教育において様々な憂うべき問題が発生しているが、これらの問題を改善するためにも、もう一度原点に立ち戻り、例えば伝統行事に培われた先人の知恵に学びながら、時を超えて恒常的な、つまり普遍に向かう努力が幼児教育においても重要であると考えた。
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