2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680298
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Research Institution | TOKYO METROPOLITAN COLLEGE OF AERONAUTICAL ENGINEERING |
Principal Investigator |
杉江 道男 東京都立航空工業高等専門学校, 教授 (90216309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向山 一男 東京都立航空工業高等専門学校, 教授 (60219847)
豊成 敏隆 東京都立航空工業高等専門学校, 教授 (20217582)
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Keywords | 応用数学 / カリキュラム / 教材開発 |
Research Abstract |
実際的な応用をもつ数学の多様化及び数学の応用される分野の拡大とその応用の態様がすべて急激に変化している。本研究では、このような状況の下で(1)新しい応用数学教材の開発研究を行う(2)数学教育の新しいカリキュラムを構築する、という2つの目標を設定した。 (1)現行の応用数学は、微積分や関数論などの解析学を中心とする古典的応用数学を指している。これに対し、集合と論理、線形代数、抽象代数、確率、統計などの数学分野は、情報理論などのコンピュータサイエンスを始めとする現代科学技術分野にとって重要なものとなっている。また、グラフ理論と組合せ理論、マルコフ連鎖、トポロジーなども近い将来、応用数学として必須の分野となる可能性をもっている。本研究では、これらの理論の導入として必要最小限の項目を整理し、2〜3時間の教材を試作した。また同時に、基礎的な項目の教授だけでは無味乾燥なものになってしまう恐れがあるため、それらの理論のもつ魅力と、いかに応用されているのかという実例を示すことも必要であり、このような観点での教材開発も行った。 一方で、現在比較的軽視されている古典的な幾何学における教材開発も行った。この中で意外にも、機械実習における旋盤でバイトの削り角度と仕上がり面との関係が、輪環面上の接線と閉曲線との関係と同じであることが分かった。つまり、幾何学のセンスも工学教育に重要な役割を果たすことが改めて認識された。 (2)各専門科目で標準的に使用されている7分野の教科書を調査し、その中で扱われている数学を整理分析した結果、全専門分野で共通に必要とされる数学と各分野毎に固有の必要とされる数学を抽出することができた。現在、全学科に対して画一的に行っている数学教育を不要な内容を除いたカリキュラムに構成する作業を行った。しかし、項目の一部を削除することで、数学の論理的な一貫性が失われていないかという疑念が未だ残っており、今後の課題となった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 五十嵐貫,杉江道男: "平面上の線分の和の最小値について-1個の動点と5個の定点の場合-"日本数学教育学会高専・大学部会論文誌. Vol.7No.1. 79-84 (2000)
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[Publications] 坪川武弘,杉江道男: "工学系に必要とされる数学に関する調査研究7-土木系分野(構造力学)における数学-"日本数学教育学会高専・大学部会論文誌. Vol.7No.1. 101-124 (2000)
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[Publications] Kan Igarashi,Michio Sugie: "On a Geometrical Property with the Minimal Length Problem of the Segments Composed of n Fixed Points and One Moving Point"Bulletin of the Polytechnic University. No.30-A. (2001)
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[Publications] 五十嵐貫,杉江道男: "立方体の頂点と2個の動点を結んでできる線分の和の最小値について"東京都立航空工業高等専門学校平成11年度研究紀要. 第37号. 1-4 (2000)
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[Publications] 松田重生,杉江道男: "工学系に必要とされる数学に関する調査研究6-機械系分野(熱力学)における数学-"日本数学教育学会高専・大学部会論文誌. Vol.6No.1. 95-108 (1999)
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[Publications] 鹿渡強,杉江道男: "球面上の小円の射影について"日本数学教育学会高専・大学部会論文誌. Vol.6No.1. 87-94 (1999)