2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680308
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 典子 筑波大学, 文芸・言語学系, 助教授 (00241753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
フォード丹羽 順子 城西国際大学, 人文学部, 講師 (70286201)
松本 哲洋 麗澤大学, 外国語学部, 助教授 (20209646)
木戸 光子 筑波大学, 文芸・言語学系, 講師 (20282288)
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Keywords | 日本語教育 / 構文動機 / 文法 / 中級文法教材 / 教材作成データベース |
Research Abstract |
昨年度には、「なぜその構文で言語化するのか=構文動機」を理解させるための理論および指導方法を検討し、10課構成の「中上級日本語文法」という試作教材にまとめることができた。本年度はこれを使って、授業をおこない、教材の使用後の評価研究を行った。これは教材としての問題点(文法解説、用例、練習問題など)を検討する作業であると同時に「構文動機」の理論の不備を洗い出す作業でもあった。 その結果、構文動機として、次の観点を中心にすえ、各文法項目間の関係づけをしていくことが、中上級レベルの学習者に必要だという考えに至り、さらに教材の改定を進めている。 1)その文の使用状況 2)その文の視点 3)節や文の述語は意志的にコントロールできるのかできないのか。 以上の観点はボイス、アスペクト、ムード、テンス、複文の接続などの構文の選択要因として重要なものであり、学習者が適切な構文を生成する上で助けとなるものと考える。人称を明示的に表さない日本語の場合、話者のことを言っているのか、他者のことを言っているのかを、述語から判断していかなければならないが、これは学習者にとって、難しいことである。構文動機を記述した文法教材は文の生成のためだけではなく、文の理解のためにも役立つものと考える。 また、昨年度、日本語教育現場の教師、及び、文法研究者、計4名に本教材の各練習問題が効果的であるかどうかをモニターしてもらったが、そこから得られたコメントを練習問題とともにデータベースとしてまとめ、日本語教師が文法教材を改定していく過程を追跡できるようにした。これは、悪い練習問題、失敗した練習問題がどのようなものであったのか、どう改善していったのかを記録として残せ、今後の教材開発に役立つのではないかと思う。
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[Publications] 小林典子: "条件文と述語のコントロール性"文芸言語研究言語篇(筑波大学). 39(印刷中). (2001)
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[Publications] 小林典子(共者): "なぜ文法習得につまずいたのか"日本語教育方法研究会誌. 7-2. 42-43 (2000)
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[Publications] 松本哲洋: "読解教育のためのワールドワイドウェッブの利用"麗澤大学別科紀要 第3号. 3(印刷中). (2001)
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[Publications] 小林典子(共著): "日本語学習者の文法習得"大修館書店(印刷中). (2001)