1999 Fiscal Year Annual Research Report
認知科学的アプローチによる中間言語の談話処理過程の解明とモデル化の試み
Project/Area Number |
11680313
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
稲葉 みどり 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (50273298)
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Keywords | 第一言語習得 / 第二言語習得 / 日本語 / 第一言語 / 第二言語 / 談話 / 知識ベース / 物語 |
Research Abstract |
1.研究概要 本研究は、中間言語(ここでは第二言語としての日本語)の談話処理過程の解明とそのモデル化を目的としている。研究は認知科学研究、及び、認知言語学の分野における理論や方法論を応用した認知科学的アプローチを用いて進める。研究の対象領域は、事象の認知から概念化、概念の言語化、談話生成に至るまでの全過程で、これらを実証的に解明し、談話処理モデルとして体系的に提示し、第二言語習得に関する新しい理論の構築をめざしている。 2.研究経過 今年度重点的に進めた作業及び成果は以下のとおりである。 (1)言語資料のデータベースの整備・充実 本研究は同じ物語を語った、次の3種類の言語資料を分析して進めている。1)日本語学習者の中間言語(日本語)による発話資料、2)日本語学習者の母語(英語)による発話資料、3)日本人による日本語発話資料。本年度は、追加調査、録音資料の文字化等を中心にデータベースを構築した。 (2)談話処理モデルの基本構想の作成 談話処理モデルの基本構想の作成に着手した。新たな視点として、学習者が第二言語を生成する際に利用する知識ベース(資源)を学習者の第二言語の知識、第一言語の知識、談話に関する知識、社会的・文化的知識等の枠組みでとらえ、学習者が母語習得の過程で形成した認知形態、概念形成が第二言語の生成にどのように関わるのかという点も射程に入れて考察できるように考案した。 (3)文献研究 本研究は認知科学、認知言語学、言語学、心理学等に関わり、学際的な特色を持つので、広範囲に渡り文献の研究を行なった。 3.平成12年度の課題と計画 言語資料のデータベースのさらなる充実及び、物語の談話構造をさらに深く分析し、論文としてまとめる。
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