2000 Fiscal Year Annual Research Report
多変量モデルにおける有効なベイズ推定法の理論と応用に関する研究
Project/Area Number |
11680320
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Research Institution | UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
久保川 達也 東京大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (20195499)
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Keywords | 線形回帰モデル / 多変量正規分布 / 縮小推定 / 統計的決定理論 / スタイン問題 / 変量効果 / 経験ベイズ法 / ミニマクス性 |
Research Abstract |
本研究は,多変量モデルのパラメータ推定において,従来の推定手法が何らかの欠陥をもち使用する上で修正が必要な問題を取り扱い,そのような問題を解決しうる有効なベイズ推定量の開発とその際必要とされる新たな推定理論の展開及び現実のデータ解析での有用性を示すことを目的として行われた。 特に,本研究課題の2年目に当たる本年度は,こうした推定問題をすべて調査し,各問題についてミニマクス性・許容性などの決定論的結果を明らかにし,ベイズ的性質及び応用的側面などをまとめ上げて,この分野の研究を体系づけた本格的な研究資料を作成した。具体的には,多変量正規分布の平均ベクトルの推定についてこれまで得られた理論結果を整理し未解決問題を明らかにするとともに,平均2乗誤差及び平均2乗誤差行列の推定に関して不偏推定量を改良してしかも正値をとる推定量を導出した。また平均行列の推定への拡張,一般的な分布族への拡張についての理論展開をサーベイし,スタイン問題の解釈を与え,様々な応用の可能性を論じた。中でも混合線形モデルにおいてスタイン推定量が最適な手法として得られることに注目し,有効な推定手法を導出するためのモデル構成法とベイズ推定法について考察を与えた。多重共線性を解決する経験ベイズ推定法,スタイン推定法に基づいたモデル選択法などの提案も行った。 その他,共分散行列や分散成分行列の推定,母数制約下での推定,非心母数の推定とマローズ統計量の修正,重相関係数の推定と自由度調整済決定係数の修正など,幅広い問題について決定理論的結果を整理して応用上有用でしかも理論上有効な推定手法を導出した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Kubokawa,A.K.Md.E.Saleh and Y.Konno: "Bayes, minimax and nonnegative estimators of variance components under Kullback-Leibler loss"Journal of Statistical Planning and Inference. 86,1. 201-214 (2000)
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[Publications] T.Kubokawa: "Estimation of variance and covariance components in elliptically contoured distributions"Journal of the Japan Statistical Society. 30,2. 199-232 (2000)
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[Publications] T.Kubokawa and M.S.Srivastava: "Robust improvement in estimation of a mean matrix in an elliptically contoured distribution"Journal of Multivariate Analysis. 76,1. 138-152 (2001)