Research Abstract |
情報化の進展に伴い,統計教育に対する社会の要請は変化し,拡大してきている。これからの情報化社会においては,数字を正しく読み,理解する能力と統計的な考え方は,一般市民にとって最小限必要な能力と考えらる。また,統計学の応用分野の拡大により,多くの専門領域においても,統計の知識および応用能力が必要になってきている。 このような環境の中でわが国の教育の現状を見ると,中学・高校での統計教育は,2002年度から施行される新学習指導要領により,これまで以上に弱体化されることになる。大学教育においても,高等教育の大衆化とも相俟って,多くの大学において,カリキュラムの見直しの結果,基礎教育としての統計教育の弱体化が見られる。このようなわが国の統計教育の現状は,情報化社会の要請や他の学問分野の要求に逆行するもので,諸外国の動きとも異なっている。 そこで,本研究は,主要国の統計教育の現状と新しい動きについて,調査,比較分析するものである。 平成12年度においては,前年度に引き続き,アメリカ,イギリスを中心に,教科書,統計教育関係の文献に基づいて,中等教育レベルの統計教育について分析した。イギリスの全国統一教育課程(ナショナル・カリキュラム),韓国の標準カリキュラムについて分析した。また,中国の高等教育における統計教育の現状と問題について,中国の専門家からのヒヤリング,意見交換を行った。これらの諸国では,数学教育の中で,データの扱い方,統計的な考え方が1つの重要な部分を占めている。 さらに,平成12年夏に日本で開かれた第9回数学教育世界会議に参加(三浦,澤田)したほか,東京で国際統計協会の国際統計教育協会(IASE)の円卓会議を組織し,討論に参加(三浦,村上,新家)した。 調査・研究結果は,研究成果報告書に取りまとめる。 学会発表:IASE Round Table Conference(2001-8)(三浦,新家)
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