2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680327
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
仁木 直人 東京理科大学, 工学部, 教授 (10000209)
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Keywords | 擬似乱数 / 並列処理 / モーテカルロ計算 / PVM / KLIC |
Research Abstract |
本研究の目的は、(1)並列計算機上での大規模シミュレーションに向いた実用的算術乱数系列を提供するための具体的なソフトウェア実装技術の開発、(2)並列計算機に特有である演算順序の不確定性による「演算結果の再現性の崩れ」に対する対策方法の研究およびシステム開発、(3)組合せ最適化問題に見られるような爆発的に解くべき問題が増殖する場合への対処法の研究開発、にある。 Linuxを搭載した10台のDOS-V仕様パソコンを高速スイッチングハブを介したLAN上に配し、PVM処理環境を備えた実用性の高い並列計算システムを構築した。このシステム上で、主に大規模並列モンテカルロ計算を通じて、本研究で開発した並列処理向け乱数発生方式の実験を行い、ある範囲での実用性を示すことができた。 実験では、直接PVMプロトコルを操作する方式と並列処理記述用言語KLIを使う方式の両方を適用し、両者の問題点を明らかにすると共に、いくつかの具体的な解決法の提示を行った。また共有メモり型並列処理システム上でも、KLIを用いた同様な確認実験を行った。 並列乱数生成理論に関しては、仁木提案の「長周期一様乱数系列の分割使用による並列乱数生成法」の研究を進め、並列乱数系列間の独立性に関して、逐次処理の際の評価が準用できることを示した。 並列実行プロセス数が一定の場合について、再現性が保証できる並列乱数生成方式について提案を行い、実際に動作実験を行った。プロセス数が多い場合のオーバーヘッドは、一部軽減できたものの、未だ根本的な解決に至らず、今後の課題として残されている。 並列プロセスが動的に増減するタイプの計算に対する対策も十分ではない。マスタースレーブ型の並列計算の場合の対応策は提案できたが、今後増えるであろう独立性の高い並列プロセス群による計算に対する有効な手段は見出しかねている。
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