2000 Fiscal Year Annual Research Report
経時測定されたカテゴリカルデータの多次元解析法に関する研究
Project/Area Number |
11680330
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Research Institution | Koshien University |
Principal Investigator |
足立 浩平 甲子園大学, 人間文化学部, 助教授 (60299055)
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Keywords | 多変量データ解析法 / 数量化法 / コレスポンデンス分析 / 質的データ / 経時データ / ペナルティ関数 / スプライン関数 / 平滑化 |
Research Abstract |
複数時期に渡って観測された複数個体のカテゴリカル・データを数量化し、個体の経時変化を空間布置によって表現する手法を考えた。すなわち、単一項目のカテゴリカル・データの場合に、従来の数量化法では個体の変化を数量化できないことに注目して、2種の正則化法を考案した。両者ともに、ペナルティ関数と非等質性基準(従来の数量化の目的関数)の合計を最小にするスコアを求めるが、ペナルティ関数の定義によって区別される。まず、一つの方法は、個体のスコアを連続的な時間の自然三次スプライン関数と見なした上で、個体スコアの時系列の非平滑性をペナルティとする。ここで、非平滑性は、時間に関して二階微分された時系列の二乗の積分で定義される。以上の方法をシミュレーションによって評価した。すなわち、真のスコアから生成した人工データを解析した結果、十分な精度で真のスコアを再現できることを確認した。もう一つの方法は、前年度に着想したもので、隣接時期の個体スコアの一階差分を二乗和してペナルティ関数を定義する。この方法で得られる個体スコアの解がカテゴリー・スコアの移動平均によって表せ、さらに、固有値分解によってカテゴリー・スコアを導く行列が時期間のカテゴリー推移頻度の移動平均に相当することを証明した。両方法ともに、解は、ペナルティ・ウェイトが所与のもとで解析的に求められ、適切な空間の次元数は正分類率を利用して選定される。質問紙調査によって収集した心理的成長の実データに両方法を適用した結果、解の空間表現から、個体の経時変化のトレンドを容易に把握できることが例証された。以上の方法は、多変量解析の正則化法の一種と位置づけられ、特に、ペナルティ関数を用いるノンパラメトリック回帰分析と類似するが、目的関数において、回帰分析では既知の基準変数に相当する項が、提案した数量化法では未知になる点で大きく相違する。
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[Publications] Kohei Adachi: "Optimal scaling of a longitudinal choice variable with time-varying representation of individuals."British Journal of Mathernatical and Statistical Psychology. Vol.53,No.2. 233-253 (2000)
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[Publications] 足立浩平: "多変量カテゴリカルデータの数量化と主成分分析."心理学評論. 43巻・4号(印刷中). (2000)