1999 Fiscal Year Annual Research Report
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11680333
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
中野 純司 統計数理研究所, 統計計算開発センター, 教授 (60136281)
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Keywords | Java言語 / Pnuts言語 / XploReシステム / オブジェクト指向 / グラフィカルユーザインタフェース |
Research Abstract |
まず当初の研究計画にしたがって、統計システムXploReを用いて統計計算のための分散処理機構を実現することを試みた。XploReがJava言語によるServer/Client機能を実現しているので、Java言語で分散処理用のClientを書こうとした。その過程で、次のことが判明した。まず、XploReに対してわれわれの目標とするような分散処理機構を、Serverの内部を変更せずに、Clientを書くだけで実行しようとすることは、かなりのオーバーヘッドを必要とするのであまり望ましくない。次にJava言語には統計解析のための基本となる、行列計算、グラフィックス描画、確率分布の計算、乱数発生などのよいライブラリが存在する。また、Java言語の優れた性質をうまく生かしながら、より簡単で使いやすいPnutsというスクリプト言語がフリーソフトウェアとして発表されている。 これらのことより、当初の計画を早め、ただちに独自の汎用的な統計解析システムの設計にとりかかることにした。言語の基本にはPnutsを利用し、統計解析システムとしてPnutsに不足しているところはできるだけフリーのJavaライブラリを用いる。さらに、それらを統一的に組合せ、オブジェクト指向プログラミングが可能なようにPnutsを変更する。また、システムはServer/Client型で構成し、分散処理がグラフィカルユーザインタフェースからも容易に行えるようにする。また、言語の設計に関しては、XploRe言語を参考にし、可能ならばそれとの協力もできるようにする。 このような方針で新しい統計解析システムJasp (Java based Statistical Processor)の基本的な設計を行ないながら、プロトタイプシステムを実現した。その結果、システムとしてはまだまだ不十分な状態ではあるが、この方向で当初の目的である使いやすい分散処理システムが実現可能であることを確かめることができたと考えている。
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