2000 Fiscal Year Annual Research Report
知的機能の脳内リアルダイナミクス-光トポグラフィを用いたワーキングメモリー仮説の検証
Project/Area Number |
11680391
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小森 憲治郎 愛媛大学, 医学部, 助手 (30294789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 敬貴 愛媛大学, 医学部, 教授 (90171818)
池田 学 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (60284395)
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Keywords | 前頭葉機能 / アルツハイマー病 / 脳血流変化 / SPECT / 海馬長軸平行像 / ADAScog / トポグラフィ / 重症度評価 |
Research Abstract |
われわれは今回の研究テーマである知的機能の脳内の時間的・空間的トポグラフィの解明と前頭葉機能の本質に迫るために、側頭頭頂領域を含む大脳後半部の機能低下を特徴的とするアルツハイマー病(AD)に対して、SPECTによる詳細な検討を行った。まず初期ADにおける海馬領域の血流低下について、この部位の評価を正確に適した海馬長軸平行像の有用性について検討した。初期AD患者10名と健常対照者8名について頭部SPECTに関心領域(ROI)を設定し、通常のOM lineに平行な横断像と海馬長軸平行像とを比較したところ、初期AD群が健常対照者群に比し、海馬長軸平行像上の両側側頭葉内側領域における脳血流のみ有意に(p<0.05)低下していた(Nebu et al,2001)。次に認知機能障害に基づく正確な重症度分類をおこなった対象者についてSPECTによる血行動態の比較を試みとしてAD患者90名対して、認知機能の低下を正確に反映する質問式検査法(小森・田辺,2000)であるAlzheimer's Disease Assessment Scale(ADAScog)を施行し、この得点により5段階の重症度群に分類し、各グループ間のSPECTのROIを比較した。その結果ADは初期の段階で両側の海馬領域に限局した血流低下を認め、それ以降は重症度が増しても同部位に著明な変化はなく、側頭-頭頂領域の血流はADの重症度に相関して低下し、前頭領域の血流は重症度が軽・中等度では保たれ、重度に達してはじめて低下することが示された(Nebu et al,in press)。ADにおいて発症後少なくとも初期では保たれ、かなり進行した段階で突然低下するという非階段状の変化を示す前頭葉機能は、脳内の他の領域とは明らかに異なる機能的意義を持つと推測された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Nebu A,Ikeda M 他7名: "Utility of 99mTc-HM-PAO SPECT hippocampal image to diagnose early stages of Alzheimer's disease using semi-quantitative analysis."Dement Geriatr Cogn Disord. 11(in press). (2001)
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[Publications] Nebu A,Ikeda M 他7名: "Relationship between blood flow kinetics and severity of Alzheimer's disease : Assessment of severity using a questionnaire-type examination, ADAScog"Dement Geriatr Cogn Disord. (in press).
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[Publications] 小森憲治郎,池田学 他3名: "人物名の想起困難を呈した海馬梗塞の一例"認知リハビリテーション2000. 90-97 (2000)
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[Publications] 牧徳彦、小森憲治郎 他2名: "アルツハイマー病の鑑別診断;神経心理「アルツハイマー病患者の簡易な観察式スクリーニング検査Short-Memory Questionnaire(SMQ)」."老年精神医学雑誌. 11・8. 867-872 (2000)
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[Publications] 池田学,鉾石和彦 他2名: "介護モデル事業における要介護認定の一次判定と二次判定のずれ-痴呆の有無との関連で-."日本老年医学雑誌. 37・7. 528-531 (2000)
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[Publications] 繁信和恵,池田学 他2名: "介護保険制度調査時の調査員および精神神経科医師の印象と一次判定結果の異同について-痴呆の有無における検討-"精神神経学雑誌. 102・8. 717-721 (2000)
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[Publications] 田邉敬貴: "痴呆の症候学"医学書院. 108 (2000)