2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒューマンエラー発生予測及び制御のための認知行動モデルの開発研究
Project/Area Number |
11680457
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
小松原 明哲 金沢工業大学, 工学部, 教授 (80178368)
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Keywords | ヒューマンエラー / 認知行動モデル / 人間工学 |
Research Abstract |
認知型ヒューマンエラーは、ある一定の条件が整うと、きわめて再現性よく発生する。本研究では、いかなる環境条件において人間のエラーが発生するものかを明らかとする認知行動モデルを作成し、さらにそのモデルの妥当性を実験により実証することを目的としている。 平成11年までに、ヒューマンエラー事例の収集と分析を行った結果、初心者が知識不足によるエラーを起こしがちなのに対して、認知エラーは熟練者が起こしがちであること等、熟練度とエラーとの関係が見られた。そこで、本年度は、熟達過程と認知行動との関係を検討する実験を行ない、経験による認知エラーの発生状況について検討した。実験としては、食器洗浄作業とし、シンク内の所定数の食器を洗浄し、脱水籠に収める作業を繰り返し行わせた。その結果、初心者も熟練者も、動作時間自体に違いはないものの、初心者は、局所観察的な場当たり的行動であるのに対して、熟練者は、籠への収納性を考えた予測行動がなされていることが明らかとなった。しかし、慣れすぎると、食器状態の変更に気づかず、従前の行動に流されてしまう傾向が見られた。このことより、経験とともに、内的知識が蓄積されるので、判断が省略され時間が短縮されるが、逆に、状況変化の摘出が適切になされないためのいわゆる不注意が増大することがうかがわれた。この結果をもとに、平成13年度は熟達過程とエラーとの関係を説明できる、認知行動モデル開発を目指す予定である。
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