2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680488
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松田 良信 長崎大学, 工学部, 助教授 (60199817)
|
Keywords | 反応性スパッタリング / 酸化物薄膜 / MgO / 金属モード / 酸化物モード / ヒステリシス / マグネトロン / 二次電子放出係数 |
Research Abstract |
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、1964年に米国で発明されて以来、長寿命化、高輝度化、高解像度化、大画面化に関する地道な研究が続けられ、最近壁掛け大画面カラーテレビとして実用化され、量産されるに至っている。しかし、ブラウン管式テレビと比較すると、薄型大画面と寿命の点では優れているが、輝度、消費電力、価格などの点でまだ開発途上にある。克服すべき要因は多々あるが、電極保護層として広く利用されているMgO酸化物薄膜の高品質化、長寿命化およびそのためのプロセス技術開発がとりわけ重要である。MgO薄膜の作成には高速成膜が可能であることから電子ビーム蒸着法が広く利用されているが、段差被覆特性と平坦度に優れ、制御性にも優れ、より高品質・大面積のMgO膜を作成可能なスパッタ法を用いた安価なプロセスが実現できれば、PDP全体にもたらす飛躍的な特性向上とコストメリットは計り知れない。本年度は、前年度開始したMgOの反応性スパッタリング過程に関する実験的・理論的研究を本格化させた。得られた結果をまとめると、以下の通りである。 1)Mgターゲットを用いた反応性スパッタリングでは、極端なスパッタ速度の違い、放電電圧の違い、残留酸素分圧の違いとしてスパッタリングのモード変化が生じる。 2)このモード遷移は、ターゲットと基板上での酸素ガスの吸着・脱離の粒子バランスに加えて、反応性ガス流量変化に伴うターゲット表面の二次電子放出係数の変化とそれによる全放電電流に対するイオン電流と電子電流比の変化を考慮することにより、より定量的なモデル化が可能である。 3)差動排気質量分析システムを構築し、放電の有無による残留酸素分圧の変化をその場計測した結果、放電開始に伴い残留酸素圧力が急激に減少することがわかった。その減少率は金属モーでは大きく、酸化物モードでは小さく、その変化の傾向はモデル予測と合致する。 4)各スパッタリングモードで得られた膜についてX線回折とX線光電子分光などの表面分析を行った結果、金属モードでは(111)配向のMg膜が、酸化物モードでは(200)配向のMgO膜が形成されることが確認された。 5)金属モードに比べて酸化物モードでは極端に成膜速度が低下するので、MgOの高速成膜の観点からは、通常方式のマグネトロンスパッタリングとは異なる手法が必要である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Madoka Muta: "Two-Dimentional Spatial Profiles of Plasma Parameters in DC Reactive Magnetron Sputtering of ITO"Thin Solid Films. Vol.341 No.1-2. 221-224 (1999)
-
[Publications] Yoshinobu Matsuda: "Two-Dimensional Spatial Distributions of Sputtered Particles Produced in a Planar Magnetron Discharge of Indium-Thin-Oxide Target"Thin Solid Films. Vol.345 No.1. 167-171 (1999)
-
[Publications] Koji Otomo: "Quantitative Analysis of Hysteresis Characteristics in Reactive Sputtering"Proceedings of the 17^<th> Symposium on Plasma Processing. 177-180 (2000)
-
[Publications] 松田良信: "反応性スパッタリングによるMgO薄膜作成プロセスの実験的・理論的検討"電子情報通信学会技術研究報告. Vol.100 No.132. 33-38 (2000)
-
[Publications] Yoshinobu Matsuda: "Quantitative Analysis of Reactive Sputtering Process for MgO Deposition"Proc.Of the Seventh International Display Workshops (IDW2000), Kobe, PDP4-1. 667-670 (2000)
-
[Publications] Yoshinobu Matsuda: "Quantitative Modeling of Reactive Sputtering Process for MgO Thin Film Deposition"Thin Solid Films. (to be published in Summer of 2001). (2001)