1999 Fiscal Year Annual Research Report
耐照射性に優れた超微細粒・粒子分散バナジウム合金の開発
Project/Area Number |
11680494
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
栗下 裕明 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50112298)
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Keywords | バナジウム / 照射脆化 / 高温強度 / 侵入型不純物 / メカニカルアロイング / 微細結晶粒 / 粒子分散 |
Research Abstract |
核融合炉第一壁構造材料としてのバナジウム(V)の課題は,低温(≦400℃)照射による照射脆化の改善と高温(≧700℃)強度の改善である。これらの同時改善には,結晶粒が微細で熱的に安定な粒子が分散した組織がもっとも有効と考えられるが,これらの組織制御のためにはメカニカルアロイング(MA)法を含む粉末冶金法が必要である。しかし,Vではその化学的に活性な性質により粉末冶金製造工程における侵入型ガス不純物の混入と気孔の残存が避けられず,極めて延性に乏しい材料しか得られなかった。そこで本研究では,有害な侵入型ガス不純物を熱的に安定な分散粒子として析出させ活用することにより母相の高純度化を図り,延性に優れた微細結晶粒・粒子分散Vを試作することを目的とした。そのために,粉末の取扱には既設の「高純度超微細粉末・合金作製装置」を用いて粉末冶金製造工程における侵入型ガス不純物の混入量を必要レベルに抑えるとともに,それらを全て熱的に安定なイットリウム(Y)の酸化物や窒化物として析出させるためにY粉末を1.6wt%添加した。この混合粉末にメカニカルアロイング処理とHIPによる固化成形処理を施した後,真空加熱による析出処理を行った結果,得られた組織は目標にきわめて近いものであり,また衝撃3点曲げ試験(衝撃速度5m/s)において77Kの低温でもかなりの延性を示すなど,優れた低温延性を示すことが明らかとなった。このように粉末冶金法により優れた低温延性をもつVが得られたことは,Vにおいても高度な組織制御が可能となり得たことを示しており,きわめて重要な成果であると思われる。
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Research Products
(1 results)