2000 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属塩化物グラファイト層間化合物のリチウム二次電池正極材料としての評価
Project/Area Number |
11680507
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岸 富也 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (50051412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 靖 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (50286639)
美浦 隆 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (50051917)
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Keywords | グラファイト層間化合物 / リチウム二次電池正極活物質 / 塩化タンタル / 遷移金属塩化物 |
Research Abstract |
本年度はアクセプター型遷移金属-グラファイト層間化合物として五塩化タンタル-グラファイト層間化合物を取り上げ,その合成と電気化学的リチウム挿入挙動について検討を行った. 塩素ガス雰囲気でグラファイトと五塩化タンタルとを反応させることによって五塩化タンタル-グラファイト層間化合物を合成した.生成した五塩化タンタル-グラファイト層間化合物のX線回折測定の結果から,本研究で得られた五塩化タンタル-グラファイト層間化合物は従来報告されていない第1ステージの新規な層間化合物であることが明らかになった. 得られた第1ステージの五塩化タンタル-グラファイト層間化合物を正極として用い,過塩素酸リチウムを含有する炭酸プロピレン溶液中において定電流放充電を試みた.放電時の電位は通電電気量とともに単調に低下し,明瞭なプラトーは観察されなかった.様々な通電電気量の試料を作成し,それらをX線回折法によって結晶構造を調べたところ,放電初期において第1ステージの五塩化タンタル-グラファイト層間化合物に帰属可能な回折線は消失し,新たに高次ステージの五塩化タンタル-グラファイト層間化合物に帰属できると考えられる回折線が観測された.このことから,第1ステージの五塩化タンタル-グラファイト層間化合物はリチウム挿入に先立って還元分解し,高次ステージの五塩化タンタル-グラファイト層間化合物になることがわかった.しかし,放電電位が溶媒の分解が起こる電位に到達するまでに,第1ステージの五塩化タンタル-グラファイト層間化合物が還元分解するのに必要な電気量を大幅に上回る電気量が流れているため,それらは電解液中に溶出した五価のタンタルの還元またはリチウムイオンの挿入を伴う高次の五塩化タンタル-グラファイト層間化合物中の五価のタンタルの還元に費やされたと考えられた.
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