1999 Fiscal Year Annual Research Report
ルビーシンチレーターを用いた低エネルギープロトン検出器の開発研究
Project/Area Number |
11680513
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二瓶 仁 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (70010973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 信幸 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (60023719)
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Keywords | プロトン検出器 / 低エネルギープロトン / シンチレーター / 中性子寿命 / 中性子崩壊 |
Research Abstract |
中性子崩壊時に放出されるプロトンを検出するために,低エネルギープロトン(〜50keV)検出器の開発研究を行う。検出器は原子炉,又は加速器の近くに設置されるため,強い中性子とγ線のバックグラウンド条件下での使用となるが,この条件下で十分なS/N比を有することが必要である。中性子を検出しないように検出素子に水素等軽元素成分を含まないこと,γ線を検出しないように検出素子の厚さは極めて薄いこと,更に検出素子で発生する信号と,放射線照射により検出素子以外の回路部分で発生する信号,及び雑音信号との区別が可能なことが必要となる。以上の点を考慮し,ルビーシンチレーター(AL_2O_3(Cr))を候補として採用した。厚さ25μmのシンチレーターを製作し,光電子増倍管に取付けた。^<241>Amより放出されるα線(プロトンを模擬できる),γ線を照射した。α線による光電子増倍管からの信号は,立上り250μs,立下り3msである。上述したようなこれ以外の信号は立上り25nsであった。信号の積分量と立上り時間を考慮して,十分なS/N比を有する検出器製作の可能性を得た。何回かの実験,回路試験の後,製作した2種の信号の弁別回路を用いて^<241>Amによる照射実験を行った結果,所定の性能を満たす検出器開発の見通しを得た。平成12年2月に,東大原子センター重イオン加速器(HIT)によるプロトンビーム照射,及び京大原子炉での中性子とγ線の照射を行ったが,それぞれビーム照射系・測定系,及び光電子増倍管の高電圧回路系でトラブルが発生し十分な実験には至らなかった。本年度は,^<241>Amによる照射実験で,所定の性能を満たす検出器開発の見通しを得た。次年度は,加速器,原子炉での実験を含め総合的立場から開発実験を行う。
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