1999 Fiscal Year Annual Research Report
高速炉燃料中の固体核分裂生成物の化学形および移動に関する研究
Project/Area Number |
11680518
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古屋 廣高 九州大学, 工学研究科, 教授 (30112311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有馬 立身 九州大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60264090)
出光 一哉 九州大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10221079)
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Keywords | 高速炉 / 核燃料 / 核分裂生成物 / 拡散 / 照射後試験 |
Research Abstract |
高燃焼度の高速炉燃料について照射後試験を行い、燃料中の特にBa、Zrの分布、化学状態いついて、燃料の酸化・還元状態から考察を行った。 BaとZrはいずれも核分裂収率の高い元素であり、化学的性質については、酸化物燃料中において他の核分裂生成物(FP)と複合酸化物を形成しやすく、高燃焼度燃料中では析出することが知られている。Baは、燃料の酸化・還元状態や温度によっては、析出せずに燃料中に固溶し、Zrも複合酸化物を形成しないかぎり多くは、燃料中に固溶している。従って、Ba-Zr系酸化物の燃料中での振る舞いは、極めて複雑なものとなる。 試験では、燃焼度が9.6、10.6、13.3at%の高速炉燃料を電子線プローブマイクロアナライザを使用し、分析を行った。その際、Ba、Zr、Oと同時にMoの分布、化学状態にも注目した。 燃料の温度は、燃料解析コードを使用し、計算によって決定した。燃料のO/M比、つまり燃料の酸化・還元状態は、Moの酸化・還元状態から推定した(REDOX法)。 BaおよびZrを含む複合酸化物の析出物が、燃焼度13.3at%の燃料で観察されたが、詳細な分析の結果、これらの析出物の組成は、およひBa:Zr:U:Pu:Mo:O=2:1.6:0.25:0.15:0.05:6であった。 Moを用いたREDOX法から、燃料のO/M比は燃料外周部において高くなっていることを確認した。 燃料に固溶しているBaの濃度は、中心部よりも外周部(O/M比が大)において高く、一方、Zrはほぼ均一に固溶していた。これにより、BaがZrに比べて燃料中を拡散しやすく、燃料の温度分布、酸化・還元状態によって大きく影響されることが分かった。
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