2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680528
|
Research Institution | TOYAMA MEDICAL AND PHARMACEUTICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
加藤 輝隆 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (80115162)
|
Keywords | 年輪年代学 / 気候復元 / 地球温暖化 / 建築部材 / ケヤキ / 年輪幅 / 古日記 |
Research Abstract |
富山県,石川県,福井県のほか宮城県,秋田県,東京都内で神社や寺院の回廊の床板として用いられているケヤキの木口面をデジタルカメラで撮影した。また,神社や寺院の修理の際に出た古い建築部材の収集にも努めた。現生木の試料としては,自生あるいは植栽されたケヤキの伐根や落枝などからコアや円盤を採取した。さらに,製材所で自然乾燥中のケヤキ原木について木口面の写真撮影を行った。現在のところ,2002年から1660年代までさかのぼる年輪について解析を進めているが,試料の大部分は明治以降のものであり,年輪幅標準曲線としては西暦1800年〜2000年の期間について作成されている。 ケヤキの年輪幅におよぼす気象要因の影響に関する予備的な解析の結果,寒冷な冬と高温の夏という条件がケヤキの肥大成長を促進するという傾向であった。この傾向は,スギについての解析結果と逆の方向であり,植物生理学的な意味については今後の解析を待たなければならない。 また,明治以前の気候とケヤキ年輪幅との間の関連を解明するために古文書の活用も進めており,氷見(富山県氷見市)の町役人が書き記した江戸時代末期(1827〜1859年)の日記(『應響雑記』)から日々の気象に関する記載を抜粋し,データベース化を進めた。『應響雑記』の記載の中でも,現在の観測値と対比できる積雪深について特に注目している。なお,2001年に奥黒部の山中で採取された樹木の年輪試料について,本研究との関連でデータを再検討したところ,加賀藩による奥山での樹木伐採の歴史が年輪年代学的に確認された。 これらの研究成果の一部を,2002年8月にケベックシティ(カナダ)で開催された第6回国際年輪年代学会で発表した。
|
Research Products
(1 results)