2000 Fiscal Year Annual Research Report
陸域から流出する有害化学物質の沿岸生態系での運命に関する研究
Project/Area Number |
11680531
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福島 武彦 広島大学, 工学部, 教授 (90124354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 則篤 広島大学, 工学部, 助手 (50294541)
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Keywords | 有害化学物質 / 沿岸生態系 |
Research Abstract |
広島市と広島湾において、浮遊粉塵、堆積粉塵や下水、河口域、内湾域での水・底質サンプルを採取し、多環芳香族炭化水素(PAHs)の濃度を測定した。溶存態と懸濁態の濃度から分配関係を解析し、モデル化した。また、陸域から海域への流下に伴う濃度変化をもとに、有害化学物質の沿岸生態系での動態、運命に関しての解析を進めた。また、浮遊粉塵、堆積粉塵を太陽光に当てて、その結果生じるPAHsの光変換現象を実験により測定した。その結果、光変換速度は夏高く、冬低いこと、水中においては溶存態でその速度は高いが、懸濁態では低いこと、また光変換によりPAHs濃度は減少するものの、変換生成物もかなりの毒性を有することがわかった。 東広島市を中心に、浮遊粉塵、堆積粉塵、簡易下水処理施設、河川での有機リン酸トリエステル(OPEs)の動態を観測した。まず、簡易下水処理施設での観測結果をもとに、原単位を明らかにした。また、河川水中での動態を模擬した実験を行うことから、自然水域での変化速度を求めた。以上をべースにOPEsの河川水中と底質中の濃度予測モデルを作成した。 最後に、環境庁の「化学物質と環境」を利用して、数十の有害化学物質の全国河川、湖沼、海域での水、底質濃度を流域特性、化学物質の物性から予測する手法を検討した。重回帰モデル、数量化1類モデルともに、かなりの精度で化学物質の濃度予測が可能であり、モニタリングの前のスクリーニングとしての活用が期待されることがわかった。
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[Publications] S.C.Deb: "Polycyclic Aromatic Hydrocarbons in Fish Organs"Marine Pollution Bulletin. 40,10. 882-885 (2000)
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[Publications] 福島武彦: "広島湾における溶存有機物の動態"水環境学会誌. 23,6. 360-366 (2000)
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[Publications] 尾崎則篤: "市街北への多環芳香族炭化水素類の地表面堆積とその降雨時流出"環境工学研究論文集. 37. 403-409 (2000)
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[Publications] 嶋津治希: "化学物質の水中濃度と底等濃度との関係"水環境学会誌. 23,12. 786-794 (2000)