2000 Fiscal Year Annual Research Report
アオコ発生要因としての湖水泥生態系における窒素・リン代謝と群集の遷移機構
Project/Area Number |
11680532
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Research Institution | University of Shiga Prefecture, School of Environmental Science |
Principal Investigator |
坂本 充 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (30022536)
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Keywords | アオコ発生要因 / 湖水泥生態系 / 窒素リン代謝 / 遷移機構 / ラン藻 |
Research Abstract |
本研究は,富栄養湖で一般的なアオコが、貧栄養の琵琶湖で発生する原因を明らかにするため、湖水泥系における窒素リン循環のラン藻増殖影響と、植物プランクトン群集遷移としてのラン藻優占化の2つの観点から、ラン藻優占化のメカニズムを解析し,琵琶湖の環境管理に必要なアオコ発生機構を明らかにする事を目的とする。 前年の研究で底泥の窒素リンの回帰が,ラン藻増殖を支えることが暗示されたので、平成12年度は6月から11月まで琵琶湖湖心で毎月プランクトン試料を採取、群集種構成と炭素窒素の量的変化を追及し、また窒素,リン添加培養実験を行った。夏に向かい湖水温の上昇につれて表水中の硝酸イオン量が激減するのに反して、ラン藻が増加、植物プランクトンの炭素,窒素量が増加した。これらから、ラン藻は硝酸イオンの無い環境で、分解回帰による炭素,窒素を利用し高温で増殖できると推察された。窒素,リン添加培養実験では、窒素添加はラン藻の増殖に効果なく、高温とリン添加のみが有効であった。窒素添加は緑藻に効果的で、低温では珪藻増殖が促進された。 これら現場資料解析と培養実験は、夏の高温と硝酸イオン激減が、ラン藻優占化に不可欠で、リンが促進的に働くことを示した。琵琶湖沿岸の底泥湖水系では、夏高温下で,硝酸イオンの激と底泥還元化によるリン溶出促進があるが、これらがラン藻増殖を促進しアオコ発生をもたらすと結論された。
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