1999 Fiscal Year Annual Research Report
胎仔期ダイオキシン曝露ラットの骨成長を指標とした毒性機構の解明とそのリスク評価
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11680558
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
中牟田 弘道 摂南大学, 薬学部, 講師 (70164275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 壮一 摂南大学, 薬学部, 助教授 (10213729)
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Keywords | osteoblast / MC3T3-E1 cell / nodule formation / bone mineral content / GC-MS / estradiol / progesterone / 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin |
Research Abstract |
胎仔期ダイオキシン暴露実験の予備的検討を目的に以下の実験を行った。 1)骨芽細胞前駆細胞(MC3T3-E1)の骨芽細胞への分化とnodule(骨原基)形成に及ぼす2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin(dioxin)の影響。dioxinはMC3T3-E1細胞の生存率及び増殖率に影響しない濃度(0.01-10nM)で、nodule形成と骨芽細胞の骨形成マーカーであるalkaline phosphatase活性とosteocalcinのm-RNAの発現を用量依存的に抑制した(ED50≒1nM,肝培養細胞でのdioxinのCYP誘導濃度に相当)。dioxinのnodule形成抑制効果は、骨芽細胞へ分化後では認められず、dioxinは前駆細胞から骨芽細胞への分化を抑制する可能性が示唆された。 2)dioxinのラット骨塩量に対する影響。dioxin(25 μg/kg,p.o.)投与ラット(Wistar系雌,12週齢)で、投与10日後脛骨骨幹端近位部(骨代謝が最も活発な部位)で骨塩量の低下が観察され、dioxinは性成熟ラットにおいても骨形成を抑制する可能性が示唆された。 3)血清性ホルモンとその代謝産物の一斉分別定量法の開発とdioxinの性ホルモン濃度に及ぼす影響。超高分解能GC-MSを用いて、従来のRIAやERISA法より遙かに高感度で高精度の性ホルモンと代謝産物(検出限界:β-estradiol=1 pg/ml,progesterone=5 pg/ml,testosterone=5 pg/ml)の同時測定法を開発した。雌ラット(Wistar系,12週齢)に体重および肝肥大等が認められない低用量のdioxin(0.25 μg/kg,p.o.)投与で、血清中のβ-estradiolとprogesterone値の有意な増加が認められ、一般毒性より低レベルのdioxin汚染で血清性ホルモンレベルが既に変化する可能性を見出した。また、高用量のdioxin(25 μg/kg,p.o.)投与で、testosterone値の顕著な上昇と性周期の乱れ(発情後期の延長)が観察された。
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