2000 Fiscal Year Annual Research Report
環境リスクを伴う施設立地の意思決定システムにおける民主性と科学性の統合
Project/Area Number |
11680565
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
村山 武彦 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (00212259)
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Keywords | 環境リスク / 意思決定システム / 施設立地 / コミュニケーション / 住民投票 / 廃棄物 / 最終処分場 |
Research Abstract |
本年度は昨年度以前に産業廃棄物を対象とした最終処分場の立地計画地周辺の地域住民に対して行った質問紙調査の結果を様々な角度から分析し、地域住民がリスクを伴う施設立地に対して抱く意識や行動の特性を把握することを試みた。地域住民の決定参加としての住民投票システムは廃棄物問題や自治意識の喚起に一定の効果をもたらしている一方で、立地計画に対して判断を下すのに十分な情報が提供されているとはいえない側面がみられる。海外の事例を踏まえると、こうした点を改善するためにはこれまで一般に実施されてきた多人数を対象とした大会場型のコミュニケーション手法を再検討する必要が示唆される。この内容については、リスク分析学会(The Society for Risk Analysis)の年次学会で発表した。 一方、最終年度に構築することを目指している施設立地の意思決定システムにおいては事業者と地域住民との十分なコミュニケーションが不可欠である。しかしながら、現時点では施設立地をめぐるコミュニケーションが実現している事例は極めて少なく、仮に行われていたとしても意思の伝達や情報の交流と呼べるものは少ない。そこで、既に実施されているコミュニケーション事例として化学工場を取り上げ、関係主体へのヒアリングを中心とした調査に基づいて、コミュニケーションの成果と課題を整理した。その結果、従来から実施している地域貢献活動や地域の代表を対象とした交流活動を通じて工場の活動に対する地域住民の信頼が醸成されつつある一方で、環境リスクに関する情報の非公表、住民間で異なる認識への未対応、コミュニケーションを円滑に進めるためのファシリテーターの確保などが課題としてあげられることを示した。この内容の一部は、リスク研究学会の年次大会で発表した。
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[Publications] 村山武彦: "環境リスク管理の現状と課題(特集 リスクマネ□ジメント入門)"土木学会誌. 85(7). 37-41 (2000)
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[Publications] 村山武彦,佐藤真美: "化学物質を扱う企業のリスクコミュニケーションに関する事例分析"日本リスク研究学会 第13回研究発表会講演論文集. 第13巻. 13-18 (2000)
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[Publications] Takehiko MURAYAMA: "Social Attitude and Communication on Siting Process of Risk-Related Facilities"Society for Risk Analysis,Annual Meeting. (Web). (2000)
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[Publications] 村山武彦: "『地球時代の自治体環境政策』(3.13「環境リスク」を担当)"ぎょうせい(印刷中). (2001)
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[Publications] 村山武彦: "『新領域土木工学ハンドブック』(22.5「リスクアセスメント」を担当)"朝倉書店(予定). (2001)