2000 Fiscal Year Annual Research Report
下水処理水中有機物の構成成分とその起源に関する研究
Project/Area Number |
11680566
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
佐藤 弘泰 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (90251347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
味埜 俊 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (60166098)
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Keywords | 下水処理水 / 活性汚泥由来物質 / 微生物産生物質 |
Research Abstract |
実験室内において有機酸のみを有機成分として含む人工下水を用いて活性汚泥プロセスを運転し、処理水の有機成分組成について検討した。処理水中の全溶存有機態炭素(DOC)、タンパク質、糖類、およびタンニン・リグニンの濃度を、活性汚泥プロセスの60日こわたる運転期間について経日的に追跡した。 流入水中のTOCは106mgC/Lであり、処理水の平均DOCは9.1mgC/Lであった。流入水中の成分である有機酸は、処理水にはまったく含まれていなかった。すなわち、流入水中の有機物は完全に処理され、処理された有機物の8.6%に相当する有機物が活性汚泥中の微生物により生産され、処理水に出てきたことになる。 処理水中のDOCのうち、タンパク質は22%、糖類は46%、タンニン・リグニンは3%をしめた。流入人工下水中にはプロピオン酸のみが含まれるので、これら成分は活性汚泥処理の過程で生成されたことは明らかである。さらに、処理水中のDOCは日によって変化したが、糖類の変動はその変化ともっとも高い相関を示した。 実下水処理場について調査した結果、流入水のTOCが50mgC/L程度であるのに対し、処理水のDOCは10mgC/L程度であった。仮に流入水中の有機成分が全て活性汚泥によって処理され、その結果、活性汚泥由来の有機成分が処理水に現れるとすると、処理水のDOCは4〜5mgC/L程度になるはずであるが、これは、実際の処理水のDOCの4割〜5割程度に相当する。すなわち、下水処理水中有機成分の半分弱は活性汚泥に由来することになる。
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